お金の話

初心者が株式市場で生き残るための”5つのポイント”【1年以内に7割が退場】

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こんにちは、井上向介です。アラフィフ、サラリーマン、4人家族。子供2人は社会人となり独立。現在、妻と二人で生活しています。

この記事は、「初心者が株式市場で生き残るための5つのスキル」について考える記事です。

【あなたはご存じですか?】

  • 新規の証券口座の7割が1年以内に取引を終えます
  • つまり、初心者の7割が1年以内に株式投資をやめてしまいます
  • その理由の多くは大きく損したからです

株式投資の厳しい現実

2023年6月、日経平均は連日バブル後の高値を更新しています。「旺盛な外国人買いによる日経爆上げ」に株式市場は湧いています。

この景気のいいニュースにつられて、「株式投資を始める人も多い」というニュースも聞きます。

口座の7割は1年以内に消える

私も含め多くの人がお金を稼ぎたくて株式投資を始めます。しかし、実際は次の2つの厳しい現実があります。

【投資における厳しい現実】

  1. 7割の証券口座が1年以内に消えていく(相場からの退場)
  2. 9割の個人投資家は損をしている

こちらはFXでの実例ですが、株式投資も大きく変わらないでしょう。

⇒FX投資家の約7割が1年以内に退場していた!FXをやめた理由第1位とは?

なぜ多くの人が消えるのか?

多くの人が消える理由、それは資金がショート(なくなる)するからです。

資金がなくなる理由の大部分は損切りが出来ずに、塩漬け株が溜まっていくからです。損することは、億り人でもプロでも日常茶飯事であります。

しかし、「損した後の対処法」について、消えていく人と市場に留まっている人の間には決定的な差があります。

トレーダーのレベル

私の主観でトレーダーのレベルを区分けすると下表のようになります。

1年間生き残るための5つのスキル

株式投資を始めた初心者は、稼ぐことよりもまずは最初の1年を生き残ることを考えましょう。この1年を生き残るために必要なスキルは次の5つです。

【1年間生き残るためのスキル】

  1. 損切りをマスターしろ
  2. 信用取引するな
  3. 逆張りするな
  4. ナンピンするな
  5. 大ロットするな

重要度から行くと、①損切りのマスターが9割を占めます。②0.5割、③~⑤で0.5割といった感じでしょうか。

記事の最後に、これらのルールをことごとく破って-200万円強制ロスカットされる動画を掲載しています。

記事は読まなくても、動画は見ておいてください。

4つは「やるな」なので簡単

上記5つのうち、①の損切り以外は「〇〇するな」です。

○○をやれ」というと主導的となり、自分の強い意志が必要ですが、「やるな」となれば無理してやらなければいいだけです。

知識として「これはやってはいけないのだな」と知っておくだけで十分対応できます。よって、①の損切りをマスターするという点だけに注力しましょう。

市場に留まり10年以上

私自身、FIREや億り人などとは無縁の兼業ですが、それでも10年以上は市場に留まることが出来ています。といっても、数年間単位で投資をしていない時期もありますが。

1年程専業も体験しました。専業を続けることはできず社会復帰しましたが、それでも大きな損失を出すことなく、今でも生き残ることはできています。

その理由は、ひとえに「損切りをマスターしたから」と断言できます。

もっとも、この記事を読まれている初心者と同じように、最初の頃-320万という膨大な塩漬け株を抱えて、死にそうにはなりましたが、、、

⇒保有株-320万体験談 損切りせずに放置するとどうなる?

【損切りのマスター】

損切りできないとは、脱出装置(非常出口)のない状態です。残念ながら損切りを習得できない人は、相場の世界で生き残ることはできません。

いずれ、いくつかの塩漬け株を保有したまま市場から退場することになります。

退場後も資金は拘束される

塩漬け株のやっかいなところは、株式投資をやめたあとも資金が拘束され、そのお金が使えないことです。

いくら余裕資金といっても、5年先10年先には使うアテがあるでしょう。本来であれば、その時までに利益が生まれて最初の資金は回収できている計画です。

しかし、一度塩漬け株を保有してしまうと、極端な話そのお金はあなたが死ぬまで使えない可能性もあります。

今からの塩漬けは長期戦になるかも

確かに私は1年間の塩漬け生活の後、奇跡的に生還することができました。しかし、それは株価が底値圏⇒反転期にあったという「非常にラッキーな境遇」だったからです。

現在の株価は、33年ぶりの高値です。2013年のアベノミクスから10年かけて上げ続けた状況です。もし、ここから本格的な下げ相場に転換した場合は、「大幅な下落および長期間」となる可能性があります。

くれぐれも塩漬け株は作らないようにしましょう。

損切りのコツ

損切りのコツをひと言でいうと「損失は小さいうちに刈り取る」です。

大きく膨らむと「精神の許容度」を超えてしまい損切りできなくなります。(最後の動画の様に。。。)

この「小さい額」というのは、自分の資金量や保有株の株数により異なりますが、現在の私であれば「-2万円程度まで」となります。

損失が-2万円に近づくと自動的に心のブレーカーが作動し、「今すぐ手放したい>>>>戻るかも」という気持ちになります。

お金を数えるな、数字として見ろ

多くの人が損切りできない理由の1つに「お金の価値に換算してしまう」というのがありますが、これはやってはいけません。

【2万円の損切りを迷っている時に】

  • この2万円があれば家族で焼き肉を食べに行けたのに。。。
  • この2万円を稼ぐのに〇日働かないといけない・・・

こういう考えは完全に捨てる必要があります。投資のお金は生活費とは別物です。このような思考に陥るということは、

  1. 体質的に投資に向いていない
  2. 余裕資金で投資を行っていない=だから失うことを惜しむ

のいずれかの可能性が高いです。向いていないことを無理に行うのは精神衛生上、良くないので投資自体をやめましょう。

私が損切りが出来たきっかけ

私が損切りを完全に習得したのは、ダイエー株(2014年12月上場廃止)でした。たしか、-2.5万円ぐらいの損切りしたときです。

  • なんの苦痛も感じなかった(お金ではなく数字として見れた)
  • 心の重しが取れてスッキリとした気分になった

これを感じた時に「あ~、これが損切りかぁ~」と思うようになり、それ以降は現在に至るまで、心の痛みもなく機械的に損切りができています。

心の痛みがないのは、精神の許容範囲内で切っているからです。

【信用取引するな】

結論からいうと初心者が信用取引をやるメリットはありません。死期を早めるだけです。

例外的にデイトレをするなら信用取引は必須です。

信用取引の3つの効果

信用取引の何が危険なのかを理解するために、まずは信用取引の効果について解説します。信用取引には次の3つの効果があります。

【信用取引の効果】

  1. レバレッジをかけられる(合法的に借金できる)
  2. リスクヘッジが出来る(両建て)
  3. 下げ相場で利益を出せる(空売り)

①レバレッジをかけられる

レバレッジをかけられるとは、自分の持つ資金以上に取引ができる。ということですが、実質的には証券会社から借金して取引をしているのと同じです。

そもそも、借金しなければ取引が出来ないというのは絶対的に資金量が足りていないからです。信用取引に頼る前に、投資資金を貯めることに注力しましょう。

借金を背負う可能性がある

信用取引で失敗した場合は、当然自分が借金を背負うことになります。信用取引をしなければならないほど、お金に切迫している人が借金を返せるとは思えません。

そういう無茶な取引は最初からやめておきましょう。

②リスクヘッジが出来る(両建て)

初心者が相場の波を予測して、リスクヘッジなど出来るわけがありません。よって、この手段を使うことはほとんどないでしょう。

私もイキって両建てしたことはこれまで「数回」ありますが、大抵はやらない方が良かったという結果でした。

③下げ相場で稼げる(空売り)

2013年のアベノミクス以降、ここ10年以上は継続的な上げ相場が続いているので、空売りの出番はありませんでした。

いずれ本格的に冬の時代(下げ相場)が訪れば、空売りは有効かもしれませんが、初心者ならまずは「現物買い」で生き残る練習をしましょう。

①×③で「仕手株」は絶対にやるな

信用取引の最も怖い点は効果の掛け合わせです。具体的には「①レバレッジをかけて、③空売りをする」ことです。

買いは家まで、売りは命まで」という格言もある通り、株価の下限は0円ですが上限は無制限です。損失はどこまで膨らむか分かりません。

意図的に売りを誘う「仕手株」の怖さ

とくに「仕手株」と呼ばれる株は意図的に空売りを呼びこみ、踏み上げで一気に株価を上げてきます。

当然空売りした人の損失は膨大なものとなります。そして、その犠牲となるのは個人投資家です。

絶対にレバレッジをかけた状態での空売りはやってはいけません。

【仕手株の実例】 4営業日で18万の損失

2023年に実際に起こった仕手株の急騰をご紹介します。(3041)ビューティ花壇という銘柄です。4月末ごろまでは300円台をうろうろしていた株価が、5月から人気がでて500円間近に。

5/9(終値494円)に一気に急騰させて、翌日から3日連続のストップ高。これでは空売りしている人は逃げれられません。4営業日後の5/16にようやく2,274円で寄り付きます。

たった100株空売りしても損失は約18万円。300株で54万円の損失です。

この約1週間、空売りしていた人は毎日毎日膨らんでいく損失をみて、精神的に非常につらかったと思います。兼業なら仕事などとても手に付かないでしょう。

上がって来る銘柄に「空売り」している時点で、次の「逆張りするな」のルールも破っていることになります。

【逆張りするな】

逆張りとは、相場の流れトレンドに逆らって取引することです。具体的には上げ相場において、下落狙いで空売りをすることです。

逆張りを好むのは個人投資家です。相場を動かすような大きな流れ(トレンド)は、外国人や機関投資家などのいわゆる“大口”が作ります。その流れに逆らおうとするのが逆張りです。

いうなれば爆走する機関車の線路上に真っ正面から立ちはだかる。それが逆張りです。お察しの通りほとんどの人が轢死します。

「僕は死しにましぇ~ん」とはなりません。容赦なくはねられます。

逆張りする真理

どうして個人投資家は逆張りを好むのか?私は次の2点が原因だと考えています。

【逆張りをする心理】

  • ギャンブラーの誤謬
  • 天底を当てたい

ギャンブラーの誤謬

【ギャンブラーの誤謬とは】

ある事象の発生頻度が特定の期間中に高かった場合に、その後の試行におけるその事象の発生確率が低くなると信じてしまう心理(Wikipediaより)

分かりやすくいうと、コイントスで5回連続“表”が出た場合、次はそろそろ“裏”が来るだろうと思う気持ちです。多くの人に心当たりがあると思います。

株式投資に当てはめると、日経がこれだけ上げているんだから、そろそろ下げが来るだろうと逆張りしたくなります。

しかし、実際には大きな流れ(トレンド)は、個人が思うほど都合よく反転はしません。

天底を当てたい

逆張りはスリルに満ちています。上げまくった相場の天井を華麗に予測して売りを入れる。万一上手く行った場合は、周囲の賞賛は大きなものとなります。

「あの上げ相場の天井を当てた人物、すげぇ~」となるわけです。

このような満足感を得るために、日々逆張りを行うのだと考えます。しかし、実際には当たるまでに膨大なハズレを量産していた可能性が高いです。

【ナンピンするな】

ナンピンとは、手持ち株が下がった時に「買い増し」を行うことです。ナンピンの目的は、取得単価を下げることで、株価が反転した場合いち早く損失を利益に変えることができます。

【ナンピンの具体例】

  1. A株を800円で100株買った
  2. その後株価が下落したので、700円で100株買い増し=ナンピン
  3. この場合、平均取得単価750円で200株保有となります

株価が700円を底として反転した場合、①の場合よりも③の場合の方が、少ない値幅で損失をゼロにできます。

結局は逆張りと同じ

考えてみればやっていることは、結局は「逆張り」です。最初の買い値の800円から700円まで株価が下げているということは、トレンドは右肩下がりの可能性が高いです。

先ほども書きましたが、逆張りはかなり不利な戦法です。700円でナンピンしてさらに株価がトレンド通りに下げると、損失は倍のスピードで膨れ上がります。(最後の動画のように・・・)

ドルコスト平均法という罠

ドルコスト平均法」という言葉を聞いたことはありませんか?

投資信託の積み立てなどでよく出てきますが、毎月一定額を買い増しすれば「高い時も」、「安い時も」も買うことになり、買い値を平準化できる。というものです。

株価が上昇もしくは、横ばいの時は有効ですが、下げ相場においてこの方法を用いると買い値は下がりますが、損失は急速に増えていきます。

私が-320万円の含み損を抱えた時も「買い下がり」と称して、平均取得単価を下げる手法を取りました。

しかし、株価は下がる一方で損失は”雪だるま式”に増えていきました。

ナンピンするなら損切りしろ

結論:ナンピンするぐらいなら、今すぐその株は損切りしましょう。

ナンピンする時点で株価はあなたが思った方向(上昇)とは逆に進んでいます。この時点でもうすでにこの取引は失敗です。

スパッと損切りして失敗からはさっさと撤退して次の銘柄を探しましょう。

【大ロットするな】

大ロットとは、多くの株数を買うことです。やってはいけない理由は、単純に損失が膨らみやすいからです。

100株で-200円の値幅なら、2万の損失で済みますが、1,000株だと一気に20万失うことになります。

ただでさえ、利益を出せる確率の低い初心者が大ロットで取引するなど「100年早いわ~!!」(byダンターグ)状態です。

急がば回れで地道に実力をつける

今は100株から取引が出来ます。利益も少額ですが、損失も少額となります。初めの頃は、儲けたい気持ちを抑えて、小ロットでの取引に専念しましょう。

小ロットで損切りをマスターして、安定して利益を出せるようになってからはじめて、徐々にロットを上げていくのがいいでしょう。

稀有な例に惑わされてはいけない

最近はあまり見かけなくなりましたが、「50万円をたった1年半で2億にした!」などという華々しい結果を目にすることがあります。そして大抵書籍化されます。

これが本当だとしたら、相当な大ロットで取引を行う必要があります。(おそらく信用取引でレバレッジもかけている)

世の中にはこういった危険極まりないギャンブル取引でも恐怖を感じない人&強運の持ち主もいるでしょう。

しかし、そういった特殊な事例は再現性が低いので真似しても失敗する確率が高いです。やめておきましょう。

10回連続ロシアンルーレットで生き残った人の方法など凡人には何の役にも立ちません。

真似しても、頭を打ちぬいて死ぬのがオチです。

まずは生き残ることが先決

株式市場には多くの人がお金を稼ぐ夢を抱いてやってきます。さながら、アメリカのゴールドラッシュのようです。

それ自体は悪くありません。私もその一人です。しかし、多くの人は正しい道を進むことが出来ず、荒野をさまよいやがて死を迎えます。

その理由は、稼ぐことよりも「まずは生き残る術」を知ることが重要という”この世界の掟”を知らなかっただけです。

逆にいうと、最初の淘汰の時期を生き延びることができれば、やがてこの世界で順応することができ、結果を出せるようになると私は考えています。

【参考動画】-200万円、ルールをやぶるとこうなる

最後に、反面教師として生き残るためのルールをことごとく破るとどうなるかの参考動画をアップしておきます。

この方は、

  1. 損切りできない
  2. (おそらくレバレッジをかけた)信用取引をしている
  3. ナンピンしている(逆張り)
  4. 大ロット取引をしている

と、ほぼすべてのルールを破ってしまい-200万円の損失を出しています。

「YouTubeで見る」のボタンをおしてみた方が、画面が大きく数字がよくわかります。また、動画のコメント欄も参考になります。

【動画時系列】

  1. 0:30 開始 30枚保有
  2. 1:40 急落
  3. 急落直後の-1万か2万ですぐに損切りしておけばいいのに、あろうことか買い増し(ナンピン)
  4. 2:00 210枚までナンピンで買い増し(最初の7倍の大ロット)この時点で損失は-20万(当初の10倍まで膨らむ)
  5. 2:10 マウスは損切り(全決済)に合わせているが、損失が大きすぎて損切りできない
  6. 2:20 わずか10秒で損失は-47万まで拡大(大ロット効果
  7. 2:45 謎の両建てをする。売建200枚:買建210枚
  8. 3:20 売建を決済して再び買持ちに(損失一辺倒に)
  9. 3:40 「お金がない」といいながら、300枚まで追加ナンピン(損失は-60万に)
  10. 5:20 -100万突破
  11. 5:40 -120万 決済ボタンにマウスを合わせるも損失が大きすぎて切れない
  12. 6:00 -180万
  13. 6:50 -200万で強制決済?

-200万の損失に比べれば最初の-1万-2万なんてゴミのような数字です。

損失が小さいうちに損切りすることがいかに重要か、またナンピン×大ロットがいかに危険か分かっていただけたでしょうか。

これはFXでの取引なので値動きが急ですが、株の場合ここまで大きな値動きはないでしょう。

今は「逆指値注文」という便利な機能があります。これで「株価が〇〇円を下回れば、売り注文執行(損切り)」を設定できます。

逆指値注文を使うことにより、兼業でも(一応)安心して取引ができます。