くらしの話

【大学進学】国立大学、公立大学に行ける割合は4人に1人 私立大学が必要な理由

こんにちは、井上向介です。アラフィフ、サラリーマン。子供2人は社会人として独立。現在、妻と二人で生活しています。

この記事は、子供の大学進学で「国公立か私立か」について悩んでいる人に向けた記事です。

【こんな悩みありませんか?】

  • 学費の面から子供には国公立に進学してもらいたいが、倍率はどれぐらいだろうか?
  • 「地方」の国公立と「地元」の私立、総額ではどちらが学費が安いのか?
  • 国公立の学費しか用意できないが、子供が私立進学を希望しているどうするべきか

結論、国立大学、公立大学に進学できるのは、全学生の1/4だけです。“私立大学進学の選択肢”は子供にとって必要です。

【この記事で分かること】
  • 国公立に行けるのは、全学生の1/4だけ
  • 私立の選択肢を残す3つの理由
  • 学費の課題の解決策

国立大学、公立大学に行けるのは、わずか1/4だけ

多くの親が想定する子供の進学ルートは、「高校までは公立、大学はどうしよう???」というパターンだと思います。問題となるのは、国公立か私立かという“大学の選択肢”ですが、以下のデータからも私立大学への進学の可能性は高いと考えられます。

「74%の学生」が私立大学という現実

以下は、文部科学省の令和4年度「学校基本調査(速報値)」のデータによるものです。

大学数の内訳

大学の総数807校の内訳として、国立大学86校(11%)、公立大学101校(12%)、私立大学620(77%)校となっています。

学生数ではどうか

学生数でみると総数293万人に対して、国立学生60万人(21%)、公立学生16万人(5%)、私立学生217万人(74%)となります。

74%が私立大学

実に「74%の学生が私立大学生ということになります。これは単純に国公立の数が少なく、数の多い私立の「門戸が広い」という理由からです。

国公立大学だけでは、全国の学生を受け入れることはできません。そのため私立大学という受け皿が必要になります。

学費には私立大学を見込んでおくべき

上記データからもわかるように子供の大学は私立大学への進学を想定しておくほうが無難です。なぜなら、全学生のうち1/4しか国公立に行けないからです。「国公立しか進学の道がない」というのは、子供にとっては”困難な道のり”だということが分かります。

学費の差額は文系で180万円、理系で340万円

ここで、国公立大学と私立大学の学費について考えてみます。大学4年間の学費は以下のようになります。

【大学の学費】

  • 国立大学:240万円
  • 公立大学:250万円
  • 私立文系:430万円(公立比+180万円)
  • 私立理系:590万円(公立比+340万円)

私立大学という選択肢が必要な3つの理由

学費の面では国公立より不利な私立ですが、私が「門戸の広さ」以外に私立大学という選択肢が必要と考える理由は、次の3つです。

【私立という選択肢が必要な理由】

  1. 多くの学生には国公立適性がない
  2. 私立の方が偏差値の高い大学に行ける可能性がある
  3. 4年間のトータル費用の逆転現象が発生する可能性がある

①多くの学生には国公立適性がない

多くの学生は国語または数学のいずれかが苦手で、3教科で受験できる私立大学を選択します。そして、国語と数学の両方ができる「国公立適性」を備えた学生だけが国公立に合格する可能性があります。

もともと1/4しか進めない狭き門である上に、国公立適性のない学生にはかなり厳しい道のりです

②私立の方が「偏差値の高い大学」に行ける可能性がある

苦手科目があると大学入学共通テストの点数を押し下げます。その結果、2次試験で受験する国公立大学のレベルを下げなければなりません。

場合により、得意科目だけで勝負できる私立大学の方が偏差値の高い大学に行けるという逆転現象が発生する可能性があります。

理系科目が苦手でも文系科目が卓越していれば、早稲田・慶応に行ける可能性はありますが、同レベルの国公立に行ける可能性はかなり低いです

お金と偏差値どちらを取るのか

いい大学に入って、いい会社に就職」なんて今の時代古臭い考えといわれていますが、本当にそうでしょうか?大企業の給与はいわずもがな、福利厚生も中小企業に比べ手厚く充実しています。子供がそのような安定を望むこともあるでしょう。

格差社会がますます広がり「中間層の消滅」といわれている現在、子供に苦労をさせたくないと思う親心は誰にでもあると思います。私立の学費増と生涯収入を考慮する必要もあるのではないでしょうか。

③4年間のトータルの費用で考える

国公立のメリットは学費が安いことです。その学費の差は文系で180万円、理系で340万円ということは先ほど書きました。

しかし、場合により「私立大学との学費の差が逆転する」場合もあります。

【国公立と私立の学費差(現役進学時)】

分類国公立私立学費の差
文系250万円430万円180万円
理系250万円590万円340万円

国公立の場合、学部(文系、理系)による学費の差はありません

(1)1浪国公立と現役私立との比較

浪人となった場合を考えてみます。通常は予備校に通うことになるので、その費用が120万円ほどかかります。浪人費用を考慮すると現役私立文系との学費の差は60万円、現役私立理系との学費の差は220万円に縮まります。

【1浪して国公立に進学した場合と現役で私立に進学した場合の学費差】

分類国公立学費浪人費用国公立合計私立(現役)学費の差
文系250万円120万円370万円430万円60万円
理系250万円120万円370万円590万円220万円

現役合格を目指す人へ

国立、私立を問わず子供の大学現役合格・進学を目指している人へ、現役合格戦略についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

⇒【大学受験】なにがなんでも現役合格したい人へ 受験料73万円で現役合格した方法

(2)地方国公立と地元私立との比較

国公立を目指す場合は、学校の数が少ないので「地方の国公立への進学」という選択肢も考えなければなりません。そうなると学費以外に生活費の仕送りが必要となります。平均的な仕送り額は7万円とのデータがあります。

4年間の仕送り額

4年間の仕送り総額:7万×12ヶ月×4年間=336万円

ただし、実家で生活していても子供の生活費は必要となります。その差分を考慮して仕送り額の半額が一人暮らしをしたことによる追加負担と仮定すると、4年間で168万円の追加出費となります。

一人暮らしの準備費用

さらに、一人暮らしのための準備費用も必要となります。遠方の大学へ進学する場合は一人暮らしのための準備費用は50万円ほど必要となります。これにより地元私立との学費差はますます縮まることになります。

地方進学した場合の「追加費用」

【地方の国公立へ進学した場合の追加費用】

  • 一人暮らしの準備費用:50万円
  • 4年間の仕送り費用:168万円

合計:218万円

このように、地方の国立大学へ進学した場合と実家通いの私立大学に進学した場合を比較すると、文系においては、トータル費用の「逆転現象」が発生する可能性があります。

【地方の国公立に進学した場合と地元の私立に進学した場合の学費差】

分類国公立学費仕送り等国公立合計私立(地元)学費の差
文系250万円218万円468万円430万円-38万円
理系250万円218万円468万円590万円122万円

一人暮らしの初期費用はいくらかかる?

子供が一人暮らしするため費用について知りたい人は、こちらの記事で詳しく書いています。

⇒子供が独立して一人暮らしを始めるのに必要なお金はいくらか?

(3)都市部の私立大学へ進学した場合

※地方住み⇒都市部の私立大学へ進学のパターン

この場合は私立による学費UPに加え、仕送りも追加のダブルパンチです。国公立との学費差は開く一方です。親側の負担も相当大きくなってしまいます。子供がこのパターンを希望する場合は、十分な話し合い(奨学金の利用など)が必要です。

学費の課題をどうクリアするか

親が私立大学への進学に抵抗がある場合、その理由の多くは“高額な学費”が原因と考えれます。だれもが教育費にふんだんにお金をかけられるわけではありません。

私も「場合により子供の教育費より親の老後資金を優先すべき」と考えています。ただ、同時に子供には多くの選択肢を与えてあげたいというジレンマもあります。

選択肢を用意することと学費を用意することは別問題

  • 私立大学進学の「選択肢」を子供に用意すること
  • 私立大学の「学費」を親が用意すること

    この2つはまったくの別問題です。そして最低限確保すべきは①です。

    教育費として国立の学費を想定していた場合は、“私立との差額”をどう補完するかを考えることが解決策につながります。考えられる選択肢は、“奨学金”となります。

    子供への説明と子供の理解が必要

    最近は子供への負担が大きいということで、マイナスのイメージが付きつつある“奨学金”です。しかし、今回のように「国公立と私立の学費の差額」であれば“活用もアリ”だと考えます。

    それでも理系の場合は340万円の負担となりますが。。。

    最終的に判断するのは子供

    奨学金を活用する場合は、しっかりとした子供への説明と子供側の理解が重要となってきます。奨学金について理解したうえで、子供が「自分の人生なのだから」と私立大学の道を選ぶのであれば、親として否定する理由はないでしょう。

    【奨学金を利用する場合】

    • 子供へのしっかりとした説明
    • 子供の理解と覚悟
    • 親としては豊富な選択肢を子供に残す

    我が家の受験【体験談】を紹介

    我が家では、長男、長女は共に大学に進学しました。全員、私立大学です。私立大学に進学した経緯をご紹介します。

    長男の場合(現役で私立理系・地元進学)

    長男は国立志望でしたが、結果的に私立となったパターンです。

    残念ながらセンター試験が取れなくて、前期で希望とする国立は不合格でした。後期は競争率が上がるので、合格できそうなのは地方の国立しかありませんでした。

    学費よりも偏差値を重視

    このような状況で、すべり止めとして合格していた地元の私立大学の方が後期で受験する地方の国公立よりも知名度的にも偏差値的にも上でした。このため、後期は受験せず地元の私立大学に進学しました。

    【長男の大学受験】

    • 国立適性あり、だがセンターの結果が残念だった
    • 「地元私立」の方が「地方国公立」より偏差値の高い大学に行けた
    • 「地方国公立」だと仕送りが必要

    長女の場合(現役で私立文系・地元進学)

    文系を選択した理由は、「数学が苦手だから」苦手というよりサッパリ分からないレベル。「私の数学は中学レベルで止まっている」と豪語していました。国公立適正ゼロです。本人も初めから私立文系1本という考えでした。

    仮に親である私が長女に国公立への進学を強要すれば、

    • そもそも国公立に行ける実力がないし、本人も行く気がない
    • 強要しても浪人する可能性が高い
    • 万が一、現役合格しても地方の国公立で仕送りが必要
    • 文系なのでいずれにせよトータル費用の逆転が発生する

    本人の意向、金銭的にも全員が納得

    これらの状況を考慮し、地元の私立に進学したほうが「本人も親も金銭的にも楽」と全員が納得できる、WIN-WIN-WINという結果になりました。