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【読書】「バカの壁」とは進撃の巨人の壁に似ている

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「バカの壁」とは進撃の巨人の壁

最近読書に充てる時間が多くなったので、今更ながらに過去のベストセラーを読んでいる。今回は「バカの壁」(養老孟司、2003年)を読んでみた。この本がベストセラーとなったのは、この衝撃的なタイトルのインパクトが大きいと思う。

〇「バカの壁」の定義は無い
残念ながら本文中にバカの壁の明確な定義は記されていないので、各自が自分なりに解釈する必要がある。私の解釈する「バカの壁」とは、自分に都合のイイ世界に閉じこもるため外界との接触及び情報を遮断するための壁となる。結果、多くを見ずに視野が狭くなっている状態。

〇脳の反応 y=axという単純な式
本書では脳内の反応はy=axとう単純な計算式で表される、とある。外からの刺激=入力がx、それに対するその人の反応=出力がyということだ。ポイントは入力xにaという係数がかかっているということだ。このaがとても重要となる。

aの値は個々人によって異なる値が設定されている。例えばガンプラの話をした時に、会話に食いついてくる人はaの値が10に設定されており、「ガンプラ何それ?」という人はaが0か1程度といった具合だ。同じ話題=入力xでもaが10か1かで反応は10倍も異なるということだ。

〇怖いのはa=0の状態
a=0とはその話題に関してまったく関心(理解)を示さない状態を指す。いくら説明しても理解してもらえない、話が通じないとはこういうことなのだろう。「言ってもわからぬバカばかり」と夜神月(デスノート)が言いたくなる気持ちだ。どれほどこちらから入力しても、相手の反応は0(興味なし、無反応)しかないのである。

「バカの壁」の中の住人

バカの壁の中に住むと一元論的考え(原理主義)になりがちとある。一元論的考えとは、例えば絶対唯一神の宗教(キリスト教やイスラム教)を信じることとある。オウム真理教の暴走も我々からすれば理解しがたい内容だが、教祖の言うことを無条件に受け入れる信者からすれば何もおかしな点はないのである。

〇外界との断絶を行う巨大な壁
一元論にハマれば強固な壁の中に住むことになる。「進撃の巨人」を読んだ人は多いだろう。あの壁は巨人から身を守るためという役割もあったが、本当の狙いは外界との接触を断絶するためのものである。その壁の中で人々は外の世界があることを知らずに生活している。

主人公達も最初は壁の中の住人だったが、途中で外の世界があることを知った。むしろ自分たちが世間から取り残された存在であった。アルミン達は一元論的考えを捨てて柔軟に外の世界に適応できた。しかし、壁の中に残った人達は変わることが出来なかった。バカの壁とはこういうことなのだろう。

解決策

一元論がダメというのであれば、どうすればいいのか?本書では詳細にそこまで書かれていないが解決策としては、多元的(多面的)な考えを持つ必要があるのだろう。「相手の立場に立って考えるとどうなるか」、「もしかしたら、間違っているのは自分の方かもしれない」こういった発想を持つことが重要になって来ると思う。

〇最後に、自分は大丈夫か
アラフィフともなれば人生経験や仕事での経験も豊富になり自己流に凝り固まっている可能性が高い。バカの壁ならぬ「昭和の壁」の中に閉じこもっていないだろうか。話が通じないのは自分かもしれない、と自問自答する必要がある。受け入れるのに抵抗はあるかもしれないが、令和の考え方を理解する柔軟性も必要だ。