国語が嫌いというのも一因で理系に行った私が何を思ったのか松尾芭蕉の「おくのほそ道」を読んでみたら、これが意外と面白かったという話。さすがに松尾芭蕉の名前は知っているが、それ以外の知識はほとんどなし。
おくのほそ道(全)(角川書店編、角川ソフィア文庫、平成13年7月)
(1)おくのほそ道の旅の概要
この本を読む前の「おくのほそ道」に関する私のイメージ
→松尾芭蕉が東北を転々と巡った話でしょ。期間は2~3年ぐらい?
実際には、
時代背景:1702年(元禄15年、徳川5代将軍の時代)
旅の期間:約5ヶ月(150日) 短かっ!
目的地:平泉(岩手県)
主な旅程:江戸(東京)~平泉(岩手県)~酒田(山形)~敦賀(福井)~大垣(岐阜)
江戸に戻って来んのか~い
何歳の時:46歳
旅費:100万以上
誰と行ったのか:弟子を1人同行(曾良)
〇おくのほそ道の内容
まさに紀行文そのものという感じで、各地各地での旅の感想が短くまとめられている。ただし、毎回句を読んでいる訳では無い。私が知っていた句は「夏草や兵どもが夢の跡」の1句だけであった。「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」も有名らしいが知らなかった。。。
〇5ヶ月というかなりの強行軍?
主な旅程は、江戸(東京)を出発し北上、松島を楽しみ主目的である平泉に到達。そこから西に本州を横断して日本海まで到達。そこから加賀(石川)、越前、敦賀(福井)まで南下、終着の大垣(岐阜)に至る。逆に考えれば、色々と立ち寄りながらこれをたった5ヶ月で踏破したというのは凄い。
日程的には今の暦に換算して5/16に江戸を出発し、10/18に終着点の大垣となっている。旅には最適の季節である。よくよく考えれば行先は東北である。豪雪地帯だ。おまけに山越えもしている。冬だと危険極まりないし、雪解けまで足止めを食う可能性もある。そう考えるとかなり考えられた日程となる。
〇旅費は100万以上、観光も楽しむ
私が読んだ本には、旅費は1両(現在の価値で100万以上)と書かれていた。5ヶ月で100万なら月20万。2人旅なら結構かつかつか?と思われるが、行く先々で門下生(弟子)や地元の有力者からの接待を受けまくっている。もちろん、粗末な宿に泊まったという内容もあるが、そういう時はたいがい「ぐっすり眠れなかった」などと芭蕉が愚痴っている。
また、各地の名所もしっかりと回っており観光旅行の要素もあるようだ。その場所の多くは今でも残っているので行ってみたい気になる。
(2)私が気に入った部分
各地の紹介の中で私が気に入ったのは、次の項目。
【殺生石】
九尾の狐が石になったという伝説。今でも栃木県那須郡那須町の湯本温泉に存在する。
【飯塚の里】
源義経を守って死んだ武士、佐藤継信・忠信兄弟。その母親が息子たちの凱旋姿を見れないと嘆いたため、それぞれの嫁(寡婦)が鎧兜を身に付け姑を慰めたという話。芭蕉も感涙にむせんだ。
【象潟】
象潟(きさかた)は、現在の秋田県にかほ市にあったという湾(入り江)「東の松島、西の象潟」と言われた風光明媚な景勝地だったとか。残念ながら1804年の大地震で土地が隆起し入り江は無くなってしまったようだ。今は陸地の場所で芭蕉は船を浮かべて絶景を楽しんでいる。時代の流れを感じる一幕だ。
【市振】
宿屋で隣の部屋の遊女の会話を盗み聞きする芭蕉さん(笑)翌朝その遊女が「女だけの旅は心細いので、せめて後ろからでも付いて行かせてください」と頼むのを「いや、無理っす」と即断で断る鬼畜な芭蕉さん、でも後でちょっと後悔。「一つ家に遊女も寝たり萩と月」どこかで聞いたことのある俳句だと思っていたら、金田一耕助の「獄門島」に出ていた。
(3)買った本の紹介
この本は、①現代語訳、②原文、③解説の3つがまとめられており非常に分かりやすく読みやすかった。大河ドラマの最後の5分程で、その日のゆかりの地を紹介するコーナーがあるがあのような感じである。