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「生き延びるマンション」中古マンションの行く末 他人事では済まされない

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この本を読もうと思った理由

 私がこの本を読もうと思った理由は、私自身が築40年ほどのマンションに住んでいるからである。この本で書かれている、高齢化の進むマンションの行く末、大規模修繕費用をめぐっての業者とのトラブル等。どれも他人事ではないので、そのあたりの知識を得ようと思った。

本書の内容

 高齢化による空室率の上昇や、管理費の滞納、スラム化するマンション、悪質建設コンサルタントの出来レースによる大規模修繕費用のぼったくり被害の事例など、正直読むのがつらい内容が多数書かれていた。しかし、そういったトラブルに対応するためには、つらくともマンション住人側にも、マンション管理の知識が必要だと思い読み進めた。

生きのびるマンション(山岡 淳一郎、2019年8月、岩波新書)

中古マンションを襲う2つの老い

 中古マンションの危機は2つの老いにあると書かれている。マンション自体の築年数による老朽化の「老い」と、住民の高齢化による「老い」である。確かに、私の住むマンションでも高齢者の住人が目立つ。

空室率の危機

 本書では、マンションの空室率が20%を超えてくると「危機的状況」と書かれている。正直自分の住むマンションの空室率は分からないが、どうなのだろうか。築後40年を境に空室率が上昇する傾向にある。例えば、初期入居の住民が亡くなり、相続人が住まない等が原因となるのだろうか。

 空室率の何がまずいかというと、所有者と連絡が取れない場合、管理費や積立修繕費の回収が出来ないことである。当然、マンション全体として資金不足に陥る。マンションは住人の「共同運営」である。お金が足りないということは、住民全体の不都合として跳ね返って来るのだ。自分たちは毎月何万円という管理費を払っているのに、それをのうのうと滞納している人たちがいることを知るべきだ。

 親からの不本意な相続で、自分が住まない(例えば遠方の)マンションの管理費を気前よく負担する相続人は、そうそうはいないだろう。特に、相続人が複数の場合、各々が「誰かが払うんじゃない、俺は相続してないし」などと、感じている可能性もある。

建て替えの困難

 マンションが老朽化してくると浮上するのが、「建替え問題」である。現在は法律上区分所有者の5分の4以上の賛成で建て替えが行えることになっている。しかし、高齢で年金暮らしの人は、建替えの自己負担が重く反対派にまわる。

 本書では、仮住まい費用も考慮すると建替えに係る持ち出しは、「平均2500万円」と書かれている。これなら、他で築浅の中古マンションを買う選択肢も視野に入りそうだ。ここに、空室率が高ければ採決も行えない状況となる。どんどん手詰まりになっていく。

大規模修繕の闇

 本書では、大規模修繕時に素人の管理組合が談合の工事施工者や建築コンサルタント、管理会社に大事な修繕積立費を根こそぎ奪われる事例が紹介されている。中には、最終押印をする、理事長を買収して工事施工者を決めさせるようなことも書かれている。

 ただ、大規模修繕と言ってもやることは、「①屋上の防水、②外壁の補修、③鉄部塗装、④シーリング」程度で、素人でも少し勉強すればすぐに仕組みを理解できると書いてある。大規模という名称に騙されるなとも。これは、非常に心強いことだ。将来自分が管理組合に参加しなければならない時は、このような知識を活かしたいと思う。

業者対策(自分の家という自覚を持つ)

 悪質業者に騙されないためには、住民=管理組合が自立して自分たちで工事施工者を選定することが需要と書かれている。このあたり、自分達のマンションは自分たちで守るという住民の意識改革が必要ということだ。

 確かに私も、管理組合の年次報告会などは出席したこともない。「管理費などのお金さえ払っていれば、後は勝手にやってくれるんでしょ」というような感覚であったが、それではいけないと思った。

なら戸建て住宅がいいのか?

 では戸建て住宅がいいのかというと、一概にそうではないと私は考える。戸建てでも屋根や外壁のメンテナンスは必要であるし、そういうのにかこつけた詐欺が無いわけではない。むしろ戸建ての方がそういった詐欺等(屋根や床下の点検と称して、不安を煽り高額の費用を提示する)のニュースを見かける。

 また、マンションの場合、住人の数がメリットに働くこともある。住人の中に建築関係の仕事をしている人がいれば、そういった人のアドバイスを受けることもできる。また、マンションの場合は高齢者ばかりではなく、若い住人もいるのでそういった人々の協力も受けられる。

 戸建ての場合は、子供ぐらいしか頼るアテは無く、高齢夫婦が自分で対応していかなければならない。数十人、数百人で対応するのと、2人~せいぜい10人程度で対応するのは大きな違いだ。

コミュニティがマンションを守る

 本書の締めくくりとして、中古マンションに一番重要なことは、「コミュニティの円滑化」と書かれている。住民一人一人が自分の住む家という自覚を持って、それに参加していく必要がある。どうすればこのマンションをもっと長持ちさせられるか、若い人にも住みたいと思ってもらえるマンションに出来るか。

 そういう地道な努力がマンションの価値向上につながると書かれている。逆に、管理組合がいい加減だと住民にしっぺ返しが来ることになる。他人事が一番いけないということだ。まぁ、あまり偉そうなことは言えないが。。。

まとめ

 私のマンションでも一昨年大規模改修があった。私もこの本に記載されている住民の様に無関心であった。ポストに入っていた資料には、何社から見積りを取ったことも記されていた「そうなんだ」ぐらいの感想しか持ち得なかった。

 果たしてこれが、まっとうに選ばれた業者なのかも分からない。さらには、一体今、自分のマンションの積立費の残高がいくらなのかすらも知らない。そういう状況ではダメだと感じた。

最大の課題:死ぬまで住めないかも

 私の人生の大きな課題として、今のマンションに“おそらく”死ぬまで住み続けられないということがある。現段階で築40年。私が後30年生きたとしても築70年のマンションである。そういうマンションに住めるのか想像もつかない。本当は、築70年でも住めるように自分たちで維持管理していかなければならないのだろうが、出来るのだろうか。

 もちろん、今のマンションを売って他に移るという選択肢もある。ただし、お金の面で都合がつくかが、最大の課題であることは言うまでもない。