この本を読もうと思った理由
私は技術職なので直接取引先に営業をかけることはないが、営業では説明しきれない場合に同行を求められることもある。また、営業は契約までが仕事で、その後発注者と継続的にやり取りをするのは技術の役目である。
なので、次回以降も引き続き仕事を発注してもらえるかどうかは、私を含めた技術担当の対応次第という要素が大きい。(他にも費用面の問題はあるが)そういう意味では、営業以上に営業を知っておかなければならないと思い、この本を手に取った。まぁ、この手の本は昔からあるのだが、なんとなく目についたので買ってみたというのもある。
コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌(山岡彰彦、2024年6月、講談社+α新書)
顧客との論争で勝ってはいけない
技術者というものは論理的に考えてしまう。それは宿命のようなもので仕方がない。もし技術者が身勝手な主観や根拠なき考えをし始めれば、それは自分自身の存在の否定である。しかし、営業という場にその考えをどこまで持ち込めるのか。
本書には「相手の言葉を跳ね返すことなく、一緒に悩みを解決することが重要。(顧客は)自分を言い負かす相手と一緒に仕事をしようとは思わない。自分のことを思ってくれる相手と仕事がしたい」と書かれている。
言いたいことは分かるのだが、技術からすれば「(物理的に)無理なものは無理」なのである。技術や法規というものは、0(間違っている、違法)か100(正しい、合法)のどちらかで、60%合法というような妥協案はないのである。という考えをどこまで冷静に相手に伝えられるか。
「あ~それは規定上無理ですね。できません。(バッサリ)」ではなく、ダメな案はダメと伝えて、そこから代替案を提案というのがイイのだろうか。「それは無理ですが、これであれば出来ますし、結果も大して変わりません」という感じだろうか。
相手が望むものは何か
本書には、営業は自社の商品がいかに(他社に比べ)優れているか、取引条件が良いかを売り込むが、買い手(顧客)が望むものは「こちらやって欲しいことをやってくれるかどうか」と書かれている。
これも営業ノウハウ本でよく見る内容である。ひどいのになると「相手(顧客)ですら気づいていない、相手の本当の悩みを見つけろ」とか書いてある本も読んだ記憶がある。人間の心を読み取る特殊能力が必要ですか?そんな能力があったら、相手の悩みよりも、相手の考えている発注額を読み取っちゃうね。
実際現場でそこまで深く考えているか改めて思い返してみる。「これ出来ますか?」という仕事の相談があった時に「できます」という、お決まりの回答をすることも必要だが、それ以外に「こっちの方がもっと効率的じゃないですか」というような、工夫点がないかなどを検討するべきなのだろうか。
とはいうものの
まぁ、言うは易しだが世の中、本書の様なドラマのような逆転劇や、物分かりのイイ顧客ばかりではない。
・費用は安ければ安いほどいいので、とことん値切る(自分の事しか考えていない)
・発注している自分が神、受注者は奴隷と思っている(今日連絡来て、明日までに仕上げろとか)
そういった打ち合わせの帰りには、「あいつ(顧客)の言ってることは、まったくお話にならない要望(や納期)ですよ」なんて、営業に愚痴ることはザラである。こういう考えを持っている時点で、まだまだ悟りを開けていない私ではあるが、まぁ本書の内容の何割かでも頭に残したいと思う。