この本を読もうと思った理由

 私がこの本を読もうと思った理由は、タイトルに興味があったからである。日々の仕事等で考えることは山ほどある。それら色々と考える事柄をどのように効率よく整理するのが良いのか学べればよいと思ったからである。本書を購入したのはもう5年ほど前だろうか、読むのも2回目である。前回読んだ内容は忘れてしまったので、今回改めてここにアウトプットして残しておこうと思う。

思考の整理学(外山 滋比古、1986年4月、ちくま文庫)

いまだに平積みされる本書

 本書の初版は1986年とある。今から40年前である。だが、本書はいまだに多くの書店のビジネスコーナーには平積みされて目につくところに置かれている。私が購入した時の帯には「東大生が読んだ本No1」だったかの文字が躍っていたような。本書と並んで平積みされていることの多い「暇と退屈の倫理学」も読んだが、こちらは内容がイマイチだった記憶がある。

気になった点のまとめ

 本書は、6ページほどの細かな内容を数多くまとめた構成となっている。おそらく何かに連載されていたものを1冊にまとめだのではないかと思う。本書の中から自分なりに気になった項目をピックアップする。

グライダー

 本書の一発目がこれであり、初回に読んだ時に衝撃を受けた記憶がある。”グライダー人間”と”飛行機人間”の例えである。グライダーとは、自己に動力を持たず誰かに引っ張ってもらい離陸する。飛行機は、エンジンを搭載しているので自力で飛び上がることができる。

 予想はつくだろうが、グライダー人間とは、誰かの指示がなければ動けない人、飛行機人間は自分の頭で考えて行動できる人である。そして本書では「学校」は、グライダー人間を大量生産する場所と皮肉られている。学業が優秀な人間は往々にして、「グライダー人間」として優秀なだけと書かれている。

 本書が発行されて40年後の令和の時代は、AIの時代である。単純作業だけでなく創作作業すらAIに奪われそうである。筆者はこのような時代どう感じるだろうか。

朝飯前

 夜に作業をするより、朝起きてからの作業の方が効率が良いと書かれている。これは、一晩寝て頭がスッキリと整理された状態だからだろう。人間の脳は睡眠中にその日の出来事を処理している。そして、翌日に備えるのである。いわゆる、キャッシュが貯まっている状態では、効率のよい仕事はできないということだ。物事が簡単にこなせることを「朝飯前」というが、あながちそれは経験に基づく真実ということである。

つんどく法

 何か新たな知識を学ぶときの方法として本を読む方法がある。今ならネットで調べて、となるのだろうが本書が書かれた時代にはネットは無い。本書では、同ジャンルの本を3冊読めばよいとなっている。3冊目ぐらいから内容が重複する部分があり、そこは重要なのだとわかって来ると書かれている。そ以降は、重複部分は読み飛ばして知識を付けて行けばよい。

三上と三中

 人間が物事を考えるのに適した場所が3つ挙げられている。馬上、枕上、厠上の3つである。馬上は、今でいう所の通勤電車の中である。枕上は、布団の中それも朝起きてからの床の中である。厠上はトイレの中である。また、三中というのも紹介されている。無我夢中、入浴中、散歩中の3つである。無我夢中は、ちょっと異質であるが入浴中と散歩中はいいアイデアが浮かびそうだ。

 おそらく現代人の多くは、これらの時間をスマホの画面を眺めることに充てている。もったいないことだ。あなたが、自分で何か興したいと考えているのなら、こういった時間にアイデアを練るのがいいだろう。

手帖とノート

 三上で妙案が思いついたら、すぐに書き留めなくてはならない。私自身も何度も経験があるが、ふと思いついたことを後で記録に、、、と思っても絶対に後では思い出せない。その場ですぐに書き留める必要がある。幸い、現代にはスマホがあるのですぐにメモ機能で書き留めることが出来る。当時は、スマホが無かったので手帖やノートと常に持ち歩いたり、枕元に置いておくのが良いと書かれている。

発酵としゃべること

 思いついたアイデアが良いアイデアだと自分で思っても、必ず寝かせる(時間をおくこと)が大事だと書かれている。寝かすことでアイデアが発酵し、より良くなる。また、時間を経ることでつまらなかったものは消えていくともある。取捨選択が行われるのである。

 また、良いアイデアは「絶対に他人に話してはいけない」とある。これは、アイデアを盗まれるというのではなく多くの場合、他者からは否定されることになり、その結果自分自身もそのアイデアに自身を持てなくなって、捨ててしまうからとある。

まとめ

 筆者のこれまでの試行錯誤や気づきをまとめた内容となっている。常に何かを考えまとめている人の意見なので、非常に参考になる。書かれた時代が古いため使用するツールに関しては、現代版に改める必要があるが根本的な考え方は現代でも役に立つ。

 ただ、周囲にある情報を効率的に整理するというよりは、自分の頭の中で生み出した考えやアイデアを整理して熟成することに主眼が置かれている。既存の情報よりも創作情報をまとめるために役立つだろう。だからこそグライダー人間ではなく、飛行機人間にならなければならないのだ。