こんにちは、井上向介です。アラフィフ、サラリーマン、4人家族。子供2人は社会人となり独立。現在、妻と二人で生活しています。
この記事は、「老後資金のための資産運用として、インデックス投資の是非」について考える記事です。
【こんな悩みありませんか?】
- 現在の貯蓄では老後資金が心もとない
- 資産運用で増やしてみたいが、投資経験もなく安易に手を出していいものか
- インデックス投資が良いと聞くが本当なのか
- 50代から始めても間に合うのか
結論、全世界へ分散投資するインデックスファンドへ投資した場合、
- 1年後に最悪資金の3割を失う可能性がある
- 同程度の確率で4割儲かる可能性がある
- 平均すると年間5%の収益率となる
「ほったらかし投資術(第3版)より」
私自身、個人での株取引は行いますがインデックスファンドの購入経験はないため、2冊の本からインデックスファンドについて学ぶことにしました。
この記事は、学んだ内容と結果をまとめた記事となります。
- インデックス投資の有効性(どこが優れているのか)
- オススメのインデックスファンド
- インデックス投資の4つの欠点(アラフィフとの相性)
アラフィフの最大の関心事は老後資金
子供もようやく独立の目途が立ってくるアラフィフ世代。定年も視野に入った子供の独立後は、自身の老後資金の準備が最大の関心事となります。実際に私自身、2022年の春に長女が独立して夫婦2人の生活が始まり、老後に向けた資金を貯めている最中です。
「貯蓄から投資へ」に乗るべきか
しかし貯蓄だけでは、なかなか資金は増えません。そこに加え国を挙げての「貯蓄から投資」への大号令。2024年からは”新NISA”も始まります。その中でもとくに最近耳にするのが、”インデックス投資”です。
某、厚切り芸人の出版もありインデックス投資は、比較的安全に資産を築ける方法として広く周知されるようになりました。本当にこの流れに乗っていいのか?乗る場合は、具体的にどのような方針とすべきか。気になるので調べてみました。
インデックス投資について4つの疑問
私もこれまでインデックス投資については完全にスルーしていたので、今更ながら調べることにしました。私が気になるインデックス投資への関心事は次の4つです。
【気になる4つのポイント】
- インデックス投資は、どういう点で優れているのか
- 利益としては、何年でどの程度の割合を見込めるのか
- デメリットはないのか
- 具体的なインデックスファンドとして何を選べばいいのか
2冊の参考書籍
今回私がインデックス投資について調べるにあたり、参考にしたのは次の2冊の書籍です。
【参考にした2冊の書籍】
- 敗者のゲーム(第6版)
- ほったらかし投資術(第3版)
言葉の定義
ここで先にインデックス投資についての、言葉の定義を整理しておきます。ネット上では、インデックス投資、インデックスファンド、インデックス投信(投資信託)などの言葉が、ごちゃまぜで使われています。
インデックス投資(運用)
インデックス投資とは、日本、アメリカなどの経済の指標となる”指数への連動”を目指す運用方針です。
指数の具体例としては、日経平均や、トピックス、ダウ、S&P500などがあります。連動を目指すわけですから、当然指数が下がった時は運用成績もマイナスとなります。
アクティブ投資(運用)
インデックス投資の反対の用語としてアクティブ投資があります。これは、独自の運用でインデックスの”指数を超える”運用を目指す方法です。
市場の指標を「超える(出し抜く)」ことを目指すので、当然どこかで無理(別の言い方をすればハイリスク)をすることになります。その結果、失敗すれば指標よりも劣った結果となることがあります。
インデックスファンド
ファンドとは、投資家から集めた資金で運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品のことです。ファンド≒投資信託のことなので、インデックスファンと=インデックス投信となります。
まとめ
まとめると、次のようになります。
- インデックス投資:”指数への連動”を目指す運用方針
- アクティブ投資:”指数を上回る”成績を目指す運用方針
- インデックスファンド:インデックス投資を行う商品(ファンド・投資信託)
敗者のゲーム
インデックス投資を学ぶために最初に読んだ本が、チャールズ・エリス著の「敗者のゲーム」です。この本は「ウォール街のランダム・ウォーカー」と並んで、インデックス投資について書かれた有名な本のため選択しました。
私が読んだのは第6版ですが、現在は第8版が最新となっています。ページ数は250ページほどなので比較的楽に読めます。
【敗者のゲーム】
- 著者:チャールズ・エリス
- 初版:1985年(現在は第8版)
- Amazonでの評価:★4.5
「敗者のゲーム」の感想
本書の結論は単純明快で、アクティブファンドは儲からないから、インデックスファンドにしなさい。これだけです。その他感想として、
【敗者のゲームの感想】
- 全体的に読みにくい。主語がなくインデックスファンド、アクティブファンドどちらのことを解説しているのか分からない時がある。
- 具体的な数字は多少示されているが、分かりにくい。
- 初版が1985年と古くアメリカの本のため、今から日本でインデックス投資を始めようという人の助けにはならない。
結論は「投資するならインデックスファンドにしなさい」というだけなので、それを知ってしまえば改めて読む必要はないでしょう。
後述する「ほったらかし投資術」の方が最近の本でもあるし具体的な記述も多く、なおかつ日本向けなのでそちらの方が断然オススメです。
インデックス投資の優れている点
本書においてインデックスファンドがアクティブファンドよりも優れている点をまとめると、次の2点になります。
【インデックスファンドが優れている点】
- “長期的”に見て8割のアクティブファンドが、市場平均以下の成績しか残せていない
- アクティブファンドの手数料は高くさらに勝率(利益率)を悪くしている。
よって、①手数料が安く、②市場平均を再現するインデックスファンドの方が優れているという論法です。
消去法的内容
アクティブファンドの欠点をあげつらうことに多くのページが割かれ、インデックスファンドがどのように優れているのかは、あまり記載されていません。
「あいつはダメだから俺にしとけよ」という感じで、あまり良い印象は受けませんでした。
ほったらかし投資術
2冊目に読んだ本は「ほったらかし投資術」(第3版)です。こちらは自身がインデックス投資で20年かけて1億円の資産を築いた日本人が著者となっています。
そのため「どのようなファンドがイイか」、「どういう方針がイイか」など具体的な数値や方法が示されており、「敗者のゲーム」よりは分かりやすいし読みやすい内容となっています。初版も2010年と新しい本です。
【ほったらかしの投資術】
- 著者:山崎元・水瀬ケンイチ 共著
- 初版:2010年(現在は第3版)
- Amazonでの評価:★4.5
インデックスファンドが優れている理由
敗者のゲームが理論的な説明なのに対し、こちらは実行する際の具体的な手順等が書かれています。本書においてインデックスファンドがアクティブファンドよりも優れている点をまとめると、次の2点になります。
【インデックスファンドが優れている点】
- アクティブファンドの7~8割は、成績がインデックスファンドに負けている
- 数少ない優秀なアクティブファンドを選ぶ方法がない
「アクティブファンドの7~8割がインデックスファンドに負けている」という記載は、敗者のゲームの数字とほぼ一致します。
インデックスファンドの具体的な成績
本書では「敗者のゲーム」では記されていなかった、インデックス投資の運用成績の目安が具体的な数字で記載されています。それによると、
【インデックスファンドの成績の目安】
- 1年後に最悪資金の3割を失う可能性がある
- 同程度の確率で4割儲かる可能性がある
- 平均すると年間5%の収益率となる
非常に具体的に書かれています。しかし、当然のことながらこれらは過去の実績値であり、これからの未来を保証するものではありません。
リスク資産の設定
本書では、1年後に投資額の3割を失う可能性があることから、失ってもイイお金(リスクにさらしてもいいお金)の3倍までを投資することを推奨しています。
オススメのインデックスファンド
本書では2人の著者が検討を重ね、投資すべきインデックスファンド1本を具体的に公開しています。単純にインデックス投資がアクティブ投資より優れている、という点を解説するだけでなく、どのインデックスファンドがイイのかまで書かれています。
それが「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」です。
【本書でオススメするインデックスファンド】
- eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
- 運用会社:三菱UFJ国際投信
- 購入時手数料:なし
- 運用管理費用(信託報酬):年率0.1144%
- 信託財産保留額:なし
先進国、途上国含め、日本を含めた全世界へ分散投資するファンドです。もちろん、このファンドを選ぶかどうかは各自の自己責任となりますが本書を読むと、そこまで推奨するなら、買ってみても。。。という気持ちになります。
実際にインデックス投資を実行している著者が薦めるので信憑性があります。
分散での資金投入はするな
私が本書を読んで“意外”と感じたことは「まとまったお金がすでにあるなら、一括して投資すべき」という考え方を推奨していることです。多くのサイトでは一度に投資せずに毎月の分散投資を行えば、価格が高いときも、安いときも均等に買える、いわゆる「ドルコスト平均法」を推奨するケースが多いです。
しかし、本書では「資金があるなら一気に買うべき」となっています。理由は、投資資金が少ないうちは十分な投資効果が発揮できず「機会損失」となるから。ということです。本書での投資方法をまとめると、
【ほったらかし投資術まとめ】
- リスクにさらしてもイイ資産(最悪なくなってもいいお金)を算出する
- 可能であれば、リスク資産の3倍の金額を上限に投資資金を設定する
- すでにまとまった資金があるのなら、分散での購入は行わず一気に全額を投資する
オススメのファンドを調べてみる
「ほったらかし投資術」で推奨されるファンド、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)について調べてみました。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)について
ヤフーファイナンスでも情報は見ることができます。下記は2023年5月2日時点の情報です。
ここ1年のトータルリターンは-1.19%となっています。
チャートは5年間を表示させています。2020年2月のコロナショック以降は、順調に右肩上がりですが、2021年末から現在までは、ほぼ横ばいといった感じです。この辺り、アメリカや日本の指数の横ばいに連動しているものと思われます。
11か月後の推移
この記事をアップしてから約11か月後(2024年3月20日時点)は大きく値上がりしています。これが「ほったらかし投資」というやつですね。信じる者は救われる。
インデックス投資の4つの欠点
一見イイことづくめの様に見えるインデックスファンドですが、私としては下記の点については注意が必要と考えています。
【インデックスファンドの欠点】
- 長期投資のためゴールが分かりづらい
- 短期的にはマイナス運用もある
- 利益になるのに時間がかかる
- アラフィフとの相性
長期投資のためゴールが分かりづらい
長期投資となると具体的な終わりがイメージしにくいです。言い換えれば、出口戦略が乏しい。どこで売ったらいいのか分からない。特にどこで売ったらいいか決めておかないと、世界的暴落で損失が膨らんだときなどへの対応が遅れます。
例えば、自分の年齢(65歳になった時)や10年経過したときを一つの目安とし、そこに世界的暴落や、バブルの発生などの突発的な事象を考慮するなど、ある程度の想定は必要でしょう。
【長期投資の”終わり”とは】
- 自分の年齢(例えば年金受給の65歳)
- 投資開始後〇〇年(例えば10年後)
- 手持ちの老後資金が不安になった時
- 最後まで売らずに済めば、持ち続けて子供へ相続させる
短期的にはマイナスも覚悟で
リーマンショックやコロナショックのような、予想外の大きな暴落がいつ発生するか分かりません。場合によっては、自分が購入した直後に発生する可能性もあります。
”長期的”に見れば、これらの損失からも回復はするのでしょうが、逆にいうと回復途上では運用成績がマイナスとなることもあります。そのため、基本的に途中解約は行わない前提で当面(少なくとも10年)は、使わないお金で運用する必要があります。
利益となるのに時間がかかる
市場全体に幅広く分散投資することになるので、価格の急変は抑えられる反面、利益の急増も期待できないことになります。
個別株の様に短期間で2倍、3倍になることはあり得ません。「ほったらかし投資術」に書かれている年平均5%が達成できたしても、元金が1.5倍になるのに約9年かかります。そこそこ大きな金額を投資しなければ、老後資金を増やすことはできないことが分かります。
⇒高値圏を維持している2024年3月 アラフィフ新NISAの是非
アラフィフとインデックス投資の相性
上記の欠点をまとめると、インデックス投資はアラフィフとの相性はあまり良くありません。理由は”残り時間の少なさ”です。老後資金を「年金を貰う65歳までに」準備すると仮定して、アラフィフに残された時間は10年~15年程度ではないでしょうか。
今すぐ一括投資を行い年間5%の利益率を維持し、複利での運用を行ったとして元金が1.5倍になるのに約9年。2倍になるには約14年かかります。
【元金が増える年数】
- 条件①:今すぐ一括でインデックスファンドを購入する(積み立ては×)
- 条件②:年平均5%の複利運用を維持できたとして
- 元金が1.5倍になるのに約9年かかる
- 元金が2倍になるのに約14年かかる
となると、老後資金までの残された時間が少ない我々アラフィフにとっては、時間的にギリギリな状況であることは否めません。ただ何もしなければ減りもしないが、増えもしないというのも事実で悩ましい問題です。
関連記事
⇒【40代、50代の投資】 今から始める初心者向けおすすめの方法
⇒【投資詐欺】 あなたの退職金が狙われる 金融リテラシーが必要な理由