お金の話

株式投資における【聖杯伝説】 勝ち続けられる手法は存在するのか

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この記事は、「株式投資において勝ち続けられる手法(聖杯)の存在」について考える記事です。

【こう思ったことありませんか?】

  • 株式投資でどうして何億も勝ち続ける人がいるのか?
  • それだけ勝つからには、何か「特別な手法」があるのでは?
  • 勝ち続けられる手法(聖杯)を自分も見つけたい

結論、聖杯は存在するかもしれませんが、ネットを探して見つかることはないでしょう。

“聖杯”それは投資家の永遠のあこがれ

自分はこれだけ努力しているのに、株式投資において結果を出せない。いつも負けている。しかし、雑誌やツイッターに目を向けると「億り人」なる存在であふれている。それも数百万から始めて、億というお金に達した人たち。「どうやったんだ、そのやり方教えろ!」とおそらく9割以上の投資家は考えたことがあるでしょう。

誰でも一度は聖杯の虜になる

そういう億り人を間近に見ると、多くの人はこう思います。どうしてそんなに勝てるのか?⇒あの人たちは「なにか特別な手法」を見つけた人達だ ⇒自分もそういう手法さえ見つけることができれば、勝てるようになる

こういう思考の流れから投資家といわれる人たちは、一度は聖杯の虜になり聖杯探しの旅に出ることになります。

投資家を虜にする”聖杯”とは

株式投資における聖杯とは、万能に勝てる手法のことです。万能というところが聖杯たるゆえんで、この手法1つを知れば「FIREなんて楽勝」の一生食べるに困らない手法となります。もっとも、聖杯についてどこかで定義されているわけではありませんが、多くの投資家の心の中にその存在はあります。

いち個人が、それも一世代で株で何億、何十億も稼ぐには、無敵の手法(すなわち聖杯)を見つけた人だ。となるわけです。

聖杯は存在するのか

多くの人の最大の関心事。聖杯は存在するのか?私の結論としては、次のようなものです。

【聖杯についての私の見解】

  • 聖杯は基本的に世には出てこない
  • 万能な聖杯は存在しない
  • 一時的に通用する聖杯は存在する

基本的に聖杯は世に出てこない

皆が血眼になって探しているのにいまだに聖杯が見つかったという話を聞かないので、聖杯は世に出てこないのが常です。また、聖杯は世に出たとたん一気に”効果がなくなる”のが宿命です。なぜなら、多くの人に真似をされるから。

皮肉なことに、聖杯は世に出たとたん聖杯ではなくなります。なので、あなたがもし聖杯を見つけることが出来たのであれば、決して人には言わないようにしましょう。

万能な聖杯は存在しない

株式にはいろいろな場面があります。上げ相場、下げ相場、もみ合いの横ばいなど。そのすべての場面に通用する、たった一つの聖杯存在しないと思います。なぜなら場面により、使う手法が異なることは、たいして儲けていない我々でも分かるからです。

例えば、買いという手法は上げ相場では非常に効果的ですが、下げ相場では効果的とはいえません。

一時的に通用する聖杯は存在する

次の章で記載している、「過去に聖杯だったもの」の存在からも、一時的に通用する聖杯は存在すると考えます。しかし、聖杯のルールに例外なくどれも現在では聖杯としての効果を失っています。

過去に存在した聖杯(と思われるもの)

私自身の株歴など知れていますがそれでも、「振り返ってみると、これは聖杯だった」と思われるものの具体例を3つは挙げることができます。文章が過去形なのは、すでに現在ではその手法は通用しない。もしくは、劇的な効果を発揮しないからです。

【過去に存在した聖杯】

  • タートルズ
  • 株之介氏の手法
  • 三村氏の手法

タートルズ

タートルズはアメリカの投資チームです。彼らは決められたルールに従った運用で大きな利益を得ました。しかし、後にタートルズの1人がこの手法を公開してしまったために、今では当時のように通用しない手法となっています。

現在では、書籍やネットで調べてもその手法を知ることができます。

株之助氏の手法

この名前が出てくる自体、私の情報がいかに古いかがお分かりいただけるでしょう。元祖カリスマトレーダーということで、2002年ごろに活躍されていました。調べると今でも活動されているようでなによりです。

具体的な方法は忘れましたが、デイトレで寄り付き直後にどうこう、、、だったような記憶があります。この方は儲かりすぎて油断したのか、手法を公開してしまいその後その方法は通用しなくなり、ご自身も稼げなくなってしまったという結末だったような。

三村氏の手法

これまた知る人からすれば、懐かしい名前です。私が株式取引を始めようと思ったきっかけは、この人のことを雑誌で知ったからです。株というものは、大学生でも億を稼げるのかとすごく驚いた記憶があります。

この人の手法は「ストップ高掴みで持ち越し、翌日寄付で売り」という方法で大きく稼いだと記憶しています。当然、今では通用しない方法です。

その他の聖杯

これ以外にも過去に聖杯だったものは他にもあるでしょう。一時期のIPO株なども錬金術でした。共通することは、「今は(ほぼ)通用しない」ということです。

このように聖杯は「世に出た瞬間その効力を失う」のが宿命です。また、世に出なくとも時代の流れとともに(例えばアルゴの登場や相場環境の変化により)通用しなくなる可能性もあります。

聖杯の効果は”一生”でなくてもよい

この記事の最初に聖杯を「一生涯、万能に勝てる手法」と定義しましたが、過去の聖杯の例を見ると、別に一生その手法で勝ち続ける必要もないことがわかります。

というのも自分が生涯働かずに暮らしていけるお金。いわゆる「FIREできる」金額を稼ぐ間だけ、通用する手法でいいわけです。

一生ではなく、一生分稼ぐ間の”聖杯”

「一生、勝てる手法」は必要なく、「一生食べていける額を稼ぐ間通用する手法で十分だということが分かります。

もっとも、そのあとは稼いだお金を無駄遣いせず、生活していく必要もありますが。こう考えると、「聖杯」を手に入れるハードルは下がるかもしれません。

三村氏も「3億」稼いだ。とのことなので、その後散財していなければ、一生働かなくても生活できます。当時の手法が現在通じなくても、まったく問題ありません。

都市伝説級、現在の聖杯

今現在、世に知れわたっていなくとも聖杯が存在するならどのようなものか。ここからは都市伝説並のゴシップな内容になりますが、私なりに考えた聖杯は次の3つです。

【存在が考えられる聖杯】

  • アルゴによる取引
  • 個人でのシステムトレード
  • イナゴトレード・仕手株(実在)

アルゴによる取引

誰もが聞いたことのあるようなアメリカの大手投資会社が、アルゴリズムや最近ではAIをフル活用し、秘密裏に完全自動売買システムを構築した。

そんなB級映画に出てきそうなシステムとして、聖杯が存在するかもです。(スカイネット的な)当然、その存在を知ったところで、我々のような個人で真似できるようなものではありません。

個人でのシステムトレード

個人で構築したシステムトレードを用いるという話は、ネットでも昔から目にします。当然ながら実際に運用しているところを見たことはありません。本当に存在するなら、個人でひっそりと稼いでいることでしょう。その他の聖杯と同じく世に出ると通用しなくなる=自分の稼ぎがなくなる、ため決して表に出てくることはないでしょうから。

出てくるのは偽物か、すでに通用しなくなったものでしょう。

ネットで販売されているようなシステムトレードは、怪しい詐欺商品の可能性が高いです。何度もいいますが、本当に儲かるなら自分でやるから。

⇒【投資詐欺4つの対策】金融リテラシーが必要な理由

イナゴトレード(仕手株)

個人的には、「やり方をマスターすれば」もっとも再現性の高い聖杯ではないかと考えています。その理由は、

  • 仕手株は定期的に繰り返されている
  • 過去の値動きなどもネットで確認することができる
  • ツイッターなどでお祭り騒ぎになっているので、銘柄情報の取得も容易

これほど手法の内容が公開されているのに、陳腐化することもなく通用する(繰り返される)のは、人間の欲に直接的に作用しているからでしょう。ある意味ドラッグと同じ。

危険度も高い諸刃の聖杯

ただし、危険度も相当に高くやり方を一歩間違えれば、(安易に空売りしようものなら)一発退場どころか、多額の借金地獄へ堕とされる危険性を持った聖杯です。そういう意味では、この聖杯は「持ち主(使い手)」を選びます。(ワンピースのゾロの刀的な)

どうしてやらないのか?

「仕手株が聖杯というのなら、どうしてあなたはやらないのか?」と思われている方もいるでしょう。やらない理由を手短に書くと次の2つの要素が原因です。

【仕手株に手を出していない理由】

  • 他力本願であること(出現頻度と、いつかなくなるかもという不安)
  • 兼業ではリスクが高い(株価のピークはほぼ1日だったり、突発的な大量売りからのS安に対応できない)

偽物の聖杯も存在する

聖杯伝説を扱った、「インディジョーンズ・最後の聖戦」を観られた方は多いでしょう。あの映画の中でも、最後には数ある偽の聖杯の中から本物を選ぶという試練があります。同じように株の世界にも偽の聖杯はいくつもあります。その代表的なモノが、次の2つです。聖杯を探すのは結構ですが、偽物をつかまないようにしましょう。

【偽物の聖杯】

  • 怪しい投資商品
  • 情報商材

聖杯とどう向き合うか

これまで、聖杯の存在について書いてきましたが、実際に我々は聖杯とどう向き合っていけばいいのか。最後にいわゆる「聖杯探し」の問題について考えます。

聖杯探しの旅は必要か

聖杯の魅力に取りつかれてしまった人がたどる道筋は2つあります。

  1. 研究による聖杯(手法)の探求
  2. ネットなどでの聖杯探し

いずれも効果的な方法とはいえません。

手段の目的化を行ってはいけない

聖杯(勝てる手法)探しは、日々多くの投資家が実践はしていますが、やってはいけないのは「手段の目的化」です。聖杯探しをする人は、往々にしてこの落とし穴に落ちてしまいます。

すなわち、勝つ手法を探すあまり、株式で儲けるよりも手法を探すことが目的化してしまうことです。具体的には、過度な銘柄研究、買いパターンや売りパターン、チャートの形状分析などなど。ついには、まったく売買をせずに研究に至ることもあります。

本人からすれば、「儲かる手法」を見つけてから、いくらでも売買する。

と考えているかもですが、そんなものが見つかる保証もないし、その時間を売買の練習に当てた方がゴールは近いはず。

ネットでの情報探し

次に陥りやすいのが、ネットでの聖杯探しです。確かに、億り人の人たちのツイッターのつぶやきは、時として大きなヒントとなることもあります。私も参考にすることが多々あります。しかし、同時に怪しげな情報商材なども存在します。「こういうものを買っては、中身を見て落胆する」ということを繰り返します。(売る側からすれば上客)

聖杯探しのパワーを違う方向に使う

聖杯を探す労力を違う方向に使うのはどうでしょうか。バットを1度も振らずに優れたバッターになる人がいるのか。ボールを1球も投げずにエースになれるのか?スイングスピードやバットの角度を研究するあまり、一度も素振りをしたことがない。当然ながらこのような人が、ホームランどころかバットをボールに当てることも出来ないでしょう。

机上の理論はあくまで机上でしかなく、やはり実践での練習や実体験に勝るものはありません。とにかく体を動かす(実際に売買する)ことが必要です。

100株でいいので実際に売買してみる

今は単元株が100株になり、1000株時代に比べると準備資金のハードルも損失額も低く抑えられるようになりました。売買の練習には最適の環境がそろっています。

もっとも、すでに自分で実践してみてダメだったから、聖杯に頼りたいと思う人もいるでしょう。その気持ちは、よくわかります。しかし、やはり聖杯を探すより自分の頭で考えて自分なりのやり方を見つける以外、この世界で生き残っていくことは出来ないでしょう。