芥川龍之介全集2を読み終わったので、有名所及び個人的に印象に残った作品について、まとめてみる。もっとも何が有名どころなのかは、正直分からないので、本の背表紙に書いてあるタイトルを有名どころとしてみる。ネタバレも含むので知りたくない方は読まないようにしてもらいたい。
芥川龍之介全集2(1986年、ちくま文庫)
蜘蛛の糸
お釈迦様が天国を散歩していると、蓮の池の底に地獄が見えた。そこでは大悪党の犍陀多(かんだた)が地獄の罰を受けていた。しかし、お釈迦様は犍陀多が一度だけ良いこと(蜘蛛を踏みつぶさずにおいたこと)をしたのを思い出して、天国から蜘蛛の糸を犍陀多の前に垂らしました。
犍陀多は、これ幸いと蜘蛛の糸を上って地獄を脱出しようとしたが、振り返って下を見ると他の亡者たちも一斉に蜘蛛の糸を上って来る。蜘蛛の糸が切れることを恐れた犍陀多が、「この糸は俺のものだ、下りろ!」と叫んだ瞬間・・・
感想
お釈迦様が犍陀多を助けようとしたのは、たまたまの偶然もしくは気まぐれだった、というのがポイントだろうか。
地獄変
京都の貴族が、有名な絵師に地獄変(地獄の禍々しさをまとめた絵図)を描くよう依頼した。この絵師はリアルを描写することに強いこだわりを持っており、人間的にも少し偏屈で変わった人物であった。そんな人物も、自分の一人娘だけは溺愛していた。
そんな中、絵師は女性が地獄の業火に焼かれる場面を描きたいので、牛車に乗せた生きた女性をリアルで燃やして欲しいと貴族に依頼する。貴族は絵師の望みに答えたが、燃やされたのは自分(絵師)の娘であった。地獄変は無事完成したが、絵師は翌日首を吊って自害した。
感想
絵師が自分の娘を焼き殺すシーンだが、作品を読んでいて誰が主犯なのかが、よく分からない。貴族は事前に、「罪人の女房を犠牲にする」と絵師に言っていたが、当日いつの間にか絵師の娘にすり替わっていた。それを絵師が望んでやったことなのか、貴族が絵師を騙したのかが良く分からない。
奉教人の死(ほうきょうにんのし)
長崎に「ろおれんぞ」という名前の孤児がいた。それをキリスト教の教会が保護して育てていた。「ろおれんぞ」が成長するにつれ、町娘と恋仲とのうわさが流れた。そのうち、その町娘が「ろおれんぞ」の子供を妊娠したと言ったので、「ろおれんぞ」は教会を破門となり追い出される。その後、「ろおれんぞ」は行方知れずとなった。
町娘が子供を産んで一年後、町で大火事が起こった。町娘の家もこの火事にまきこまれ、赤子が家に置き去りにされた。もうダメというときに突如、「ろおれんぞ」が現れて燃え盛る火の中から子供を救い出す。しかし、「ろおれんぞ」は火に焼かれてもはや助からない状況に。
ここで町娘が、恋仲だったことや親が「ろおれんぞ」というは自分の嘘ということを告白する。嘘をついたのは、娘が言い寄っても「ろおれんぞ」が相手にしてくれなかったから。そんな中「ろおれんぞ」は息を引き取る。が、実は「ろおれんぞ」は・・・
感想
冤罪による悲しいお話であった。この本ではこの話が一番印象に残った話である。
その他、印象に残った話
邪宗門(じゃしゅうもん)
京都の貴族の若殿様は容姿端麗、頭も切れる。自分を襲った賊に対しても、平然と依頼主よりもっと褒美を取らせるので、さっさと依頼主を取り押さえろと交渉する余裕っぷり。
その頃、京都では謎の宗教を布教する怪しげな宣教師がひとりいた。実際に魔術を使うことが出来て、急速に信者を増やしている。ある日御堂完成の集まりに、その邪教の宣教師が乗り込んできて、法力対決を行うが誰も勝てない。もはやこれまで・・・というところで「予がお相手いたそう」と颯爽と登場したのが、若様であった。(未完)
感想
おぃぃ~、未完てホント芥川さん頼むわって感じ。前振りがとても面白くて、いよいよこれからって、とこで未完はないだろ。DBでいうと、ようやく孫悟空が到着したのに(おわり)って感じ。一説には芥川が、この後の展開とオチを作るのが難しいので未完にしたとか。。。
開化の殺人
ある子爵とその夫人のところに、2人の友人であるDr(ドクター、医者)からの遺書が届く。その遺書には次の様なことが告白されていた。
「私は過去に一度、殺人に手を染めたことがある、今また同じような殺人をしてしまいそうな衝動にかられている自分が恐ろしいので、自殺する」というものであった。遺書には次の様に書かれていた。
Drは、昔ある女性に恋をしていた。だが、自分が医者になるために外国に留学している間に、その女性は他の男性と結婚していることを帰国後に知る。その夫(A氏)というのが非道な人物であった。同じころDrは、B氏と出会う。B氏は、Drの恋している女性の元許嫁であたったが、A氏に強引に女性を奪われたそうだ。
Drは医者の知識を活かして、A氏を病死に見せかけて毒殺する。A氏が死んだことでB氏は女性と結婚することが出来た。しかし今度は、、、
⇒「芥川龍之介全集(3)」きりしとほろ上人伝、蜜柑、或敵打の話 他