定年間近で給料だけが高くほとんど仕事をしない。いわゆる「働かないおじさん」が若者から煙たがられている。そこから、ふと母方の祖父のことを思い出した。私が小学校の頃、学校から帰ってくるとたまに祖父が家にいた。今思えばどう考えても勤務時間中だった。母は普通に祖父にビールを出していた。
私は祖父がお土産に買ってきてくれるガンプラがとても嬉しかった。私の家の数駅先に祖父の会社の営業所があったと聞く。そこへ外出した帰りについでに寄っていたのだと思う。携帯もポケベルもない時代だ。一度会社を出ると帰るまではどうとでもなったのだろう。
祖父が定年間近なのか今でいう再雇用だったのかは分からない。だが出先からの帰りの数時間を孫の顔を見ることを楽しみにしていた。そんな事情が理解できたのも大人になってから。当時の私は「友達と約束があるから」とすぐに遊びに行っていた。母は「せっかく、おじいちゃんが来てくれてるのだから、もう少し家にいなさい」と言っていた。祖父は「遊びに行ってきなさい」とほほ笑んでいた。祖父には悪いことをした。