こんにちは、井上向介です。アラフィフ、サラリーマン、4人家族。教育費、住宅費は完了。現在、老後資金を貯めています。
この記事は、「株の専業デイトレーダー生活」について興味がある方に向けた記事です。
【こんな悩みありませんか?】
- デイトレの専業トレーダーとはどのような生活なのか?
- 始めるための資金や準備するモノは何か?
そのような悩みを解決するために、過去に1年4ヶ月ほど株の専業トレーダー生活をしていた私の【体験談】をもとに、専業生活をはじめるためのノウハウを紹介します。
結論、成功すれば自由な生活が手に入ります。
起業よりも失敗時のダメージは少ないので、興味があるなら、なにごとにも挑戦してみましょう。ただし、出口戦略をしっかりと。
- デイトレ生活のどこが難しいのか
- 「資金はいくら用意した?」など想定質問への回答
- これからデイトレ生活を考えている人へのアドバイス
- 兼業トレーダーはどうなのか
デイトレード生活を始めたきっかけ
私がデイトレードを行っていたのは6年ほど前のことです。以前からデイトレ生活には興味があり、きっかけさえあればやってみたいと思っていました。
そしてその「きっかけ」が起こったので始めることにしました。
きっかけは会社の清算で無職に
デイトレを始めるきっかけは、勤めていた会社が清算によりなくなったことです。(倒産ではありません)
会社をやめてまでデイトレをする勇気はなかったですが、無職になったので「1年間」という期限付きで挑戦することにしました。
芽が出ず諦めて社会人に復帰
子供もいたので父親が一日中家にいるのは「よくない」ということで、家賃3万円の部屋を借りて、1年4ヶ月ほどデイトレ生活を頑張りました。
しかし、結果は芽が出ず社会人に復帰し現在に至ります。予定より期間が延びたのはその分の生活費が確保できたからです。
デイトレードのどこが難しいのか
今振り返ってデイトレードで生計を立てようとした場合、どこが難しかったのか?感じたことは次の4つです。
【デイトレの難しさ4つのポイント】
- 勝ち続ける難しさ
- 待てないこと
- 資金が少ないこと
- 手法探しに傾倒しがち
①勝ち続ける難しさ
毎日、毎日、何十回も行われるジャンケン大会(取引)に勝ち続ける必要があります。
日経平均が昨日は200円上げたと思ったら、今日は300円下げる。その都度、「買い」だの「(空)売り」だのと大変です。
こういう兆候は危険
取引を続けていると確率論から考えれば「勝率は1/2に収束する」ことに気づきます。
そして「勝率1/2ならどうやって利益を残すのか?」という疑問点にブチ当たり焦ります。
その先は「負けを少なく、勝ちを大きく伸ばす」という考えに至ります。
ここまでならいいのですが、多くの場合「④手法探しという泥沼」に傾倒しがちです。こうなると危険です。
②待てないこと
デイトレのメリットの1つにポジションを翌日に持ち越さないので、その夜の「米国等の影響を受けない」というものがあります。
確かにこれはメリットなのですが、逆に「利益を大きく伸ばせない=時間を味方に出来ない」というデメリットにもなります。
ツイッターや株関連の雑誌では億を稼ぐ専業トレーダーを身近に感じることができます。彼らの多くはデイトレードもやっていますが、同時にスイングトレードも併用してそちらで大きく稼いでいます。
③資金が少ないこと
これからデイトレードで生計を立ててみようという人は、どれくらいの資金から始めるつもりでしょうか。手持ちの資金が少ないと次の2つのデメリットが発生します。
【手持ち資金の少なさによるデメリット】
- 大きな枚数を買えない
- スイングトレードを併用できない
(1)大きな枚数を買えない
例えば次のケースを想定してください。
【ソフトバンク(9984)を取引する場合】
- ソフトバンク(株価5,500円とする)の呼値は1円です。
- 1,000株購入で値幅5円動けば5,000円の利益です。この時の必要資金は550万円となります。
- 10,000株購入で値幅5円動けば5万円の利益です。この時の必要資金は5500万円となります。
1回の取引で5万円の利益が出るのであれば生活費を稼ぐのも楽でしょう。しかし、5500万円もの資金を用意する必要があります。
実際は信用取引なので資金は1/3で済みますが、それでも2000万円近い現金を用意する必要があります。現実的にこれは不可能です。
(2)スイングトレードを併用できない
デイトレを繰り返していると、勝ったり負けたりの繰り返しでなかなか勝ちを積み上げることができません。
そうなるとスイングトレードも併用したくなります。しかし、資金が少ないとスイングトレードに回すお金が足りなくなります。
④手法探しに傾倒しがち
毎日安定して勝てないと「自分の取引のどこが悪いのか?」を考えるようになります。この思考は当然のことなのですが、そこから多くの場合、「取引手法の探求」に目を向けてしまいます。
「勝っている人は何か秘密の「必勝法」を探し当てたに違いない」
ツイッターなどで「今日は〇十万、〇百万勝った」というツイートを見ると、ほぼ確実にこの思考に陥ります。
そして自分も「勝てる手法」を探す旅に出ることになります。「5分足のこういうパターンで入って、ここで出て。」という感じです。
⇒株式投資における【聖杯伝説】 勝ち続けられる手法は存在するのか
「聖杯」は探すな!
こういったことは、株の世界では「聖杯探し」や「手段の目的化」といわれています。結論は「聖杯などない」というものです。
確かに何の勉強もせずに勝てるほど株は簡単ではないですが、「必勝の勝ち法則」もないことを理解しないと、聖杯探しで多くの時間を無駄にすることになります。
【手段の目的化とは】
取引手法とは勝つという目的のための「手段」でしかないのに、取引で勝つことよりも手法(手段)を探すことに「目的」が移ってしまうことです。
極端な例になると、取引をせず手法の検証ばかりを行うようになります。取引をしなければ目的(利益を上げること)を達成できません。
想定質問
ここで、読者が疑問に思われている点を想定して質疑形式で回答してみます。
Q1. 生活費はどうしていたのか
あらかじめ1年分の生活費(約400万円)を用意してデイトレ生活を始めました。
そのため、1年間利益が出なくても生活していくことは可能でした。生活費の原資は会社の退職金です。
Q2. 家族の理解は
妻には説明し了解を得ていました。
ただし、生活費が確保できている「1年間」という期間限定での約束でした。結果的に1年4か月に伸びたのはその分の利益を確保できたからです。
Q3. 自由な専業デイトレ生活に未練はあるか
ありません。
今は取引をしていませんが、毎月安定した生活費が確保できる兼業トレーダーの方が精神的に穏やかに過ごせると感じています。
専業にあこがれた理由の一つに「自由に生活できる」というものがあります。
確かに自由には過ごせますが、その代償として「生活費はどうするのか」という精神的負荷は相当なものです。
Q4. 挑戦したことを後悔したか
後悔していません。
やらなかった方が、「やはりあの時やっておけば」と後悔していたでしょう。
完全に株取引をやめたわけではないですし、あの時の取引経験はこの先また役に立つと考えています。
Q5. 成績はどうだったのか
1年やって4ヶ月分の生活費をプラスにできた程度です。
月々の生活費を30万として年間120万円のプラス。税金を考慮すると年150万円となり月の平均約13万円となります。
手持ち資金はまだ残っているので、今後機会があれば現物での取引はしたいと考えています。
Q6. 株式の取引経験なしでいきなり始めたのか
いいえ。
株取引自体はもっと前からやっていました。完全初心者で始めたわけではありません。
Q7. どれぐらいの資金で始めたのか
私が用意した資金は600万円です。
信用取引を行うので買い付け余力は1800万円です。デイトレでとくに資金不足を感じることはありませんでした。
Q8. 信用取引は必要か
次の3つの理由から 信用取引は必須となります。
【信用取引が必要な理由】
- 現物取引の手数料は高すぎる
- 現物だと回転売買ができない(差金決済で余力が回復しない)
- 下げ相場に対応するためにカラ売りも必要
【信用取引は危険?】
よく「信用取引は絶対にすべきではない」といいますが、あれは中期のスイングや年単位の長期保有を目的とした場合です。
そういう取引には、手持ち資金の範囲での現物買いが向いています。
Q9. 用意したものは
デイトレ生活をするために用意したものは次の通りです。
【デイトレ生活を始めるために用意したもの】
- ワンルームの部屋 家賃3万円
- パソコン3台
- ディスプレイ4面
- モニターアーム(デュアルタイプ)2台
- 机、いす
Q10. デイトレで使っていた証券会社はどこか
メイン口座として松井証券の一日信用取引を利用していました。松井証券は取引手数料が無料だったのが決め手です。
その他、SBI証券のツールを使っていました。
【松井証券の一日信用取引のメリット】
- 取引手数料が0円
- 約定代金100万円以上で金利・貸株料が0円
通常のデイトレなら1回の注文の約定代金は100万円を超えます。そのため、手数料・金利・貸株料がゼロなら同値撤退も気兼ねせずに実行できます。私がデイトレをやっていた時は、金利・貸株料の経費が万単位でかかり利益を圧迫しました。。。
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デイトレ生活を始める人にアドバイス
これからデイトレ生活を始めようと思っている人に、3つのアドバイスがあります。
【デイトレ生活を始める人への3つのアドバイス】
- 何事も挑戦してみればいい
- 期間を定めること(出口戦略)
- 事前準備はしっかりと
①何事も挑戦してみればいい
とくに若い人は何事にも挑戦してみればいいと思います。そしてダメと見切れば方向転換をすればいいだけです。
私の感じるところは、①起業よりはリスクが小さい、②FIREよりは短期間で自由になれる、です。
(1)起業よりはリスクが小さい
起業するとなれば、それなりの事務所や人を雇う必要もあります。
社会的な信用も必要となり、銀行からの借り入れも当面の運転資金を考慮すれば、1千万円以上になるでしょう。
起業に失敗するとこれらの負債を一手に引き受けることになります。
その点、デイトレでは失うものは投資資金ですがそこまで大きな額を用意できないので、起業に比べれば損失額は小さくてすみます。
(2)FIREよりは短期間で自由になれる
取引という「労働」は継続しなければなりませんが、FIREよりは短期間で自由(会社勤めなし、人付き合いなし)な生活は手に入ります。
いずれ億の資産を築けばその時点でリタイアも可能です。
②期限を定めること(出口戦略)
挑戦することはいいことですが、やってみて将来性がないのであれば見切る(撤退する)ことも重要です。
そのために、始める段階で「2年で判断する」など出口戦略をハッキリとさせておきましょう。
③事前準備はしっかりと
事前準備とは、①生活費の準備、②株式の取引経験の2つです。
(1)生活費の準備
あらかじめ自分が定めた期間分の生活費を確保しておきます。何事もそうですが、すぐに成果が表れることは稀です。
「生活費を稼がなければ」という精神的重圧は相当なものです。それをなくしておくことは、取引に集中するためにも重要です。
値動きが活況なのは、前場(午前)です。午後からバイトをして生活費を確保すれば、挑戦期間を長く保つことができますし精神的にも楽になれます。
(2)株式の取引経験
デイトレ生活に入ってから、株取引を始めるのでは遅すぎますし貴重な時間を無駄に使ってしまいます。
最小枚数、短期取引であらかじめ取引の練習はしておきましょう。
もしかしたら、その時点で損失の精神的プレッシャーに耐えられずに、自分には株取引の適性がないと分かるかもしれません。
兼業トレーダーはどうなのか
専業トレーダーに対し、社会人などをしながら取引する人を兼業トレーダーといいます。
兼業の場合、今の仕事を辞めなくても副業として始めることができます。
専業トレーダーを目指す前に兼業の可能性を考えてみるのもどうでしょうか。
専業を経験して兼業に対して感じたのは次の3点です。
【兼業トレーダーの特徴】
- 生活費が保障されているという絶対的な安心感
- 時間を味方にできる
- 下げ相場が来ると厳しい
①生活費が保障されているという絶対的な安心感
生活費が安定して確保されているのは精神的にかなり有利です。「毎月絶対に勝たなければ」という強迫観念から解放されます。
その結果、「待つことができます」地合いが悪いときは取引をしなくてもいいです。
②時間を味方にできる
兼業の場合、時間を味方にできるので利益を大きく伸ばすことができます。取引回数の少なさを利益の伸びでカバーします。
反面、資金を大きくするのに時間もかかります。社会人生活が苦でないのなら、兼業の方が向いているかもしれません。
③下げ相場が来ると厳しい
アベノミクスが始まった2012年秋から10年間、株式相場は一貫して右肩上がりです。この間は、現物買いのホールドで容易に資産が増えました。
しかし、上げた相場はいつか下げます。
そうなった場合、これまでと同じような買い一貫の戦略は通用しなくなり、買うタイミングの判断や銘柄の選球眼などの技術力が求められるようになります。
最後に
私は芽は出ませんでしたが、大きな損失を受けることもなく生還し社会復帰しました。もっとも、1年間の生活費は失いましたが。
このようにデイトレ生活は、出口戦略さえしっかりしておけば、起業よりもリスクは低いと言えます。
儲けは起業よりも少ないですが、自分一人が自由に生活できるぐらいの稼ぎがあれば十分でしょう。
一番の課題は、始める前の投資資金と生活費の確保です。独身であれば実家を使うなどして経費を極力抑えましょう。
生活費は午後からバイトを併用するのが現実的です。
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