お金の話

【株の専業トレーダーになるには】デイトレード生活の実態【体験談】

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この記事は、「株の専業デイトレーダー生活」について興味がある方に向けた記事です。

次のような疑問のある方
・デイトレの専業トレーダーとはどのような生活なのか?
・始めるための資金や準備するモノは何か?

私の体験談

 そのような悩みを解決するために、過去に1年4ヶ月ほど株の専業トレーダーを目指して生活していた私の【体験談】をもとに、専業生活をはじめるためのノウハウを紹介します。起業よりも失敗時のダメージ(特に金銭的な)は少ないと思うので、興味があるなら、なにごとにも挑戦してみましょう。ただし、出口戦略をしっかりと持ちましょう。

出口戦略とは

 出口戦略とは、上手く行かなかった時の引き際の事です。あらかじめ用意した資金が底を着いたら、予定していた日数(例えば1年)を経過したら、など始める前に引き際を決めておきましょう。

デイトレード生活のきっかけ

 私がデイトレードを行っていたのは2016年頃のことです。以前からデイトレ生活には興味があり、きっかけさえあればやってみたいと思っていました。そしてその「きっかけ」が起こったので始めることにしました。

無職になったこと

 デイトレを始めるきっかけは、勤めていた会社が清算によりなくなったことです。勤めている会社をやめてまでデイトレをする勇気はなかったですが、無職になったので「1年間」という期限付きで挑戦することにしました。

芽が出ず諦めて社会人に復帰

 子供もいたので父親が一日中家にいるのは「よくない」ということで、家賃3万円の部屋を借りて、1年4ヶ月ほどデイトレ生活を頑張りました。しかし、結果は芽が出ず社会人に復帰し現在に至ります。予定より期間が延びたのはその分の生活費が確保できたからです。

 大きな損失を出すことなく終われたので、当初用意した取引資金はほとんど減ることなく終わりました。金銭的損失は1年間の生活費となります。

デイトレードのどこが難しいのか

 今振り返ってデイトレードで生計を立てようとした場合、どこが難しかったのか?感じたことは次の4つです。

①勝ち続ける難しさ
②利益を大きく伸ばせないこと
③資金が少ないこと
④手法探しに傾倒しがちなこと

①勝ち続ける難しさ

 毎日、毎日、何十回も行われるジャンケン大会(取引)に勝ち続ける必要があります。日経平均が昨日は200円上げたと思ったら、今日は300円下げる。その都度、「買い」だの「(空)売り」だのと大変です。

 「生活費を稼がなければ」という精神的なプレッシャーは相当なものです。昨日せっかく1万円積み上げたのに、今日2万円負けたりもします。それなら明日は、いくら勝てばいいのか?とても不安になります。

②利益を大きく伸ばせないこと

 デイトレのメリットの1つにポジションを翌日に持ち越さないので、その夜の「米国等の影響を受けない」というものがあります。確かにこれはメリットなのですが、逆に「利益を大きく伸ばせない=時間を味方に出来ない」というデメリットにもなります。

 X(ツイッター)や株関連の雑誌では億を稼ぐ専業トレーダーを身近に感じることができます。彼らの多くはデイトレードもやっていますが、同時にスイングトレードも併用してそちらで大きく稼いでいます。純粋にデイトレだけで生計を立てる場合、勝ちの額が小さいのが悩みです。

③資金が少ないこと

 これからデイトレードで生計を立ててみようという人は、どれくらいの資金から始めるつもりでしょうか。手持ちの資金が少ないと次の2つのデメリットが発生します。①大きな枚数を買えない。②スイングトレードを併用できない。

(1)大きな枚数を買えない

例えば次のケースを想定してください。

【ソフトバンク(9984)を取引する場合】
・ソフトバンク(株価8,000円とする)の呼値は1円
・1,000株で値幅5円動けば5,000円の利益。必要資金は800万円
・10,000株で値幅5円動けば5万円の利益。必要資金は8000万円

 1回の取引で5万円の利益が出るのであれば生活費を稼ぐのも楽でしょう。しかし、8000万円もの資金を用意する必要があります。実際は信用取引を使うので資金は1/3で済みますが、それでも最低2700万円近い現金を用意する必要があります。現実的にこれは不可能です。

(2)スイングトレードを併用できない

 デイトレを繰り返していると、勝ったり負けたりの繰り返しでなかなか勝ちを積み上げることができません。そうなるとスイングトレードも併用したくなります。しかし、資金が少ないとスイングトレードに回すお金が足りなくなります。

④手法探しに傾倒しがち

 毎日安定して勝てないと「自分の取引のどこが悪いのか?」を考えるようになります。この思考は当然のことなのですが、そこから多くの場合、「取引手法の探求」に目を向けてしまいます。「勝っている人は何か秘密の「必勝法」を探し当てたに違いない」この考えは危険です。

 Xでは、「今日は〇十万、〇百万勝った」というツイートを見ると、ほぼ確実にこの思考に陥ります。そして自分も「勝てる手法」を探す旅に出ることになります。「5分足のこういうパターンで入って、ここで出て。」という感じです。

「聖杯」は探すな!

 こういったことは、株の世界では「聖杯探し」や「手段の目的化」といわれています。結論は「聖杯などない」というものです。確かに何の勉強もせずに勝てるほど株は簡単ではないですが、「必勝の勝ち法則」もないことを理解しないと、聖杯探しで多くの時間を無駄にすることになります。

⇒株式投資における【聖杯伝説】 勝ち続けられる手法は存在するのか

デイトレ生活の一問一答

 ここで、この記事を読まれている読者がデイトレ生活に対して疑問に思われている点を想定して質疑形式で回答してみます。

Q1. 生活費はどうしていたのか

 あらかじめ1年分の生活費(約400万円)を用意してデイトレ生活を始めました。そのため、1年間まったく利益が出なくても生活していくことは可能でした。生活費の原資は会社の退職金です。

Q2. 家族の理解は

 妻には説明し承諾を得ていました。ただし、生活費が確保できている「1年間」という期間限定での約束でした。結果的に1年4か月に伸びたのは、利益でその分の生活費を確保できたからです。

Q3. 自由な専業デイトレ生活に未練はあるか

 ありません。社会人に復帰してしばらくは株取引を辞めていましたが、今はスイングトレードで取引をしています。毎月安定した生活費が確保できる兼業トレーダーの方が精神的に穏やかに過ごせると感じています。

 専業にあこがれた理由の一つに「自由に生活できる」というものがあります。確かに自由には過ごせますが、その代償として「生活費はどうするのか」という精神的負荷は相当なものです。

Q4. 挑戦したことを後悔したか

 していません。やらなかった方が、「やはりあの時やっておけばよかった」と後悔していたでしょう。デイトレード生活での取引経験は、今の取引でも役にたっています。

Q5. 成績はどうだったのか

 1年やって4ヶ月分の生活費をプラスにできた程度です。月々の生活費を30万として年間120万円のプラス。税金を考慮すると年150万円となり月の平均約13万円となります。

Q6. 株式の取引経験なしでいきなり始めたのか

 いいえ。株取引自体はもっと前からやっていました。完全初心者で始めたわけではありません。

Q7. どれぐらいの資金で始めたのか

 私が用意した資金は600万円です。信用取引を行うので買い付け余力は1800万円です。デイトレでとくに資金不足を感じることはありませんでした。

Q8. 信用取引は必要か

  信用取引は「絶対に必要」となります。理由は、①現物だと回転売買ができない(差金決済で余力が回復しない)、②下げで利益を出すためにもカラ売りが必要だから。

 よく「信用取引は絶対にすべきではない」といいますが、あれは資金の少ない人が危険な仕手っぽい株を3倍まで買って持ち越したりするからです。基本的に持越しを行わないデイトレでは、ストップ安につかまらない限り追証などの危険な目に遭うことは無いでしょう。

Q9. 用意したものは

 デイトレ生活をするために用意したものは次の通りです。

・自宅とは別にワンルームの部屋 家賃3万円
・パソコン3台
・ディスプレイ4面
・モニターアーム(デュアルタイプ)2台
・机、いす

 現在はパソコンの性能も上がっているので、少ない台数で多くのモニターも扱えるでしょう。

Q10. デイトレで使っていた証券会社はどこか

 メイン口座として松井証券の「一日信用取引」を利用していました。松井証券は取引手数料が無料だったのが決め手です。その他、SBI証券のツールを使っていました。もっとも、約10年前の話です。現在(2025年)は、SBIなども取引手数料が無料となっているので証券会社の選択肢は増えているのではないでしょうか。

デイトレ生活を始める人にアドバイス

これからデイトレ生活を始めようと思っている人に、3つのアドバイスがあります。

①何事も挑戦してみればいい
②ただし、期間を定めること(出口戦略)
③事前準備はしっかりと

①何事も挑戦してみればいい

 とくに若い人は何事にも挑戦してみればいいと思います。そしてダメと見切ればすぐに方向転換をすればいいだけです。私の感じるところは、①起業よりはリスクが小さい、②FIREよりは短期間で自由になれる、です。

②期限を定めること(出口戦略)

 挑戦することはいいことですが、やってみて将来性がないのであれば見切る(撤退する)ことも重要です。そのために、始める段階で「1年やってみて判断する」など「出口戦略」をハッキリと決めておきましょう。

③事前準備はしっかりと

事前準備とは、①生活費の準備、②株式の取引経験の2つです。

(1)生活費の準備

 あらかじめ自分が定めた期間分の生活費を確保しておきます。何事もそうですが、すぐに成果が表れることは稀です。「生活費を稼がなければ」という精神的重圧は相当なものです。それをなくしておくことは、取引に集中するためにも重要です。

 値動きが活況なのは、前場(午前)です。なので基本的に後場は暇です。例えば、午後からバイトをして生活費を確保すれば、挑戦期間を長く保つことができますし精神的にも楽になれます。

(2)株式の取引経験

 デイトレ生活に入ってから、株取引を始めるのでは遅すぎますし無謀すぎます。あらかじめ株式取引の経験はしておきましょう。もしかしたら、その時点で損失の精神的プレッシャーに耐えられずに、自分には株取引の適性がないと分かるかもしれません。

兼業トレーダーはどうなのか

 専業トレーダーに対し、社会人などをしながら取引する人を兼業トレーダーといいます。兼業の場合、今の仕事を辞めなくても副業(趣味)として始めることができます。そして、世の中兼業トレーダーの方が一般的です。専業トレーダーを目指す前に兼業の可能性を考えてみるのもどうでしょうか。専業を経験して今現在兼業をしている私が感じたのは次の3点です。

・生活費が保障されているという絶対的な安心感
・時間を味方にできる
・下げ相場が来ると厳しい

①生活費が保障されているという絶対的な安心感

 生活費が安定して確保されているのは、精神的にかなり有利です。「毎月絶対に勝たなければ」という強迫観念から解放されます。その結果、「待つことができます」地合いが悪いときは取引をしなくてもいいです。

②時間を味方にできる

 兼業の場合、時間を味方にできるので利益を大きく伸ばすことができます。取引回数の少なさを利益の伸びでカバーします。反面、資金を大きくするのに時間もかかります。社会人生活が苦でないのなら、兼業の方が向いているかもしれません。

③下げ相場が来ると厳しい

 アベノミクスが始まった2012年秋からかれこれ13年間、株式相場は一貫して右肩上がりです。この間は、現物買いのホールドで容易に資産が増えました。しかし、上げた相場はいつか下げます。そうなった場合、これまでと同じような買い一貫の戦略は通用しなくなり、買うタイミングの判断や銘柄の選球眼などの技術力が求められるようになります。

最後に

 私はデイトレーダーとしての芽は出ませんでしたが、大きな損失を受けることもなく生還し社会復帰しました。このようにデイトレ生活は、出口戦略さえしっかりしておけば、起業よりもリスクは低いと言えます。

 儲けは起業よりも少ないですが、自分一人が自由に生活できるぐらいの稼ぎがあれば十分でしょう。一番の課題は、始める前の投資資金と生活費の確保です。独身であれば実家を使うなどして経費を極力抑えましょう。生活費は午後からバイトを併用するのが現実的です。