お金の話

「デイトレード」バンドワゴン効果、高値掴みを回避、投資の精神面について学ぶ

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私が手元に残している投資本の1冊

 これまで、色々な株式投資の本を読んできたが、「デイトレード」は私が手元に残している3冊の本のうちの1冊である。この本は、株式投資で多くの人がやってしまう「高値掴み」に対する警鐘が書かれている。それが「バンドワゴン効果」である。

⇒【投資本】手元に残っている本の紹介

こういう人にオススメ

 本書は、次のような経験を持つ人に役に立つだろう。

・毎回、高値掴みをしてしまい損失または塩漬け
・日経が高値と騒ぎ出すと株を買いたくなる
・あらかじめ定めた損切りラインに達しているのに損切りできない

株式投資に必要な3つの技術

 株式相場で勝つためには、次の3つの技術が必要となる。

①儲ける技術
②損失をコントロールする技術
③上記の①、②を実行する強靭なメンタル(精神面)

 多くの人は①の技術さえあれば、利益は残せると思っている。しかし、それは大きな間違いである。損失をコントロールできないと、いくら儲けてもそれ以上の損失が発生し、手元に利益は残らない。そして、①、②を支えるのが強靭なメンタルである。この本は③投資のメンタル(精神面)について学ぶための本である。

精神面について学ぶ本(手法本ではない)

 まず、結論として本書は「株取引のメンタル(精神面)」について書かれた本である。そのため「具体的な売買テクニック(手法)」については、一切触れられていない。具体的なテクニックとは「チャートで〇〇のサインが出たら買い」、「買値から□%上がればいったん利食い」といった”取引手法”に関する内容ことである。

 それに加えて「デイトレード」というタイトルから、いかにも超短期の取引向けについて書かれた本というイメージを与えてしまうのだが、実際は中期、長期投資にも役に立つ。

20年経っても通用する

 本書は、2002年に発行されている。今から20年以上も前である。しかし、この本は今でも遜色なく通用する。なぜなら、人間の精神面に触れているからである。人間の本質は、何十年、何百年経っても変わらない。ローマ時代から、人はお金持ちになりたいと願い続けている。

何度か痛い経験をしてから読むべき本

 この本が必要となるのは、株式取引を始めてしばらく経ってからである。新NISA、オルカン、S&P、高配当株など魅力的な投資話を聞いて、自分も投資を始めてみたが思ったように上手く行かない。損失ばかり。何が悪いのか分からない。

 そして「やっぱ私は投資には向いてないかも、、、」とあきらめかけた時に、本書を読めば「あぁ、こういったところがダメだったのか」と気づかされる。そして本書を読み終えた後は、「もう一度やってみるか」という気になっているだろう。(たぶん)

バンドワゴン効果について知る

 私が本書の中でもっとも教訓としている部分がこの「バンドワゴン効果」である。実際に著者自身も述べているが、この寓話について学ぶだけでも本書の価値はある。(本書の価格2,200円どころではない損失を防いでくれる)

セイレーンの歌声

 バンドワゴン効果とは、一言で言えば”セイレーンの歌声”である。抗い互い誘惑のメロディで、投資家に高値掴みをさせる。

 私も長い精神的な学びの後にようやく、「バンドワゴンの音色」を克服することが出来た。それぐらい、この誘惑は強烈である。なぜなら、それは人間の本能に直接語りかけて来るからである。本能を理性で克服するのはとても苦しいものである。

バンドワゴン効果とは

 バンドワゴン効果とは、多数がある選択肢を選択している現象が、その選択肢を選択する者を更に増大させる効果である。(Wikipediaより)

 わかりやすく言うと「多くの人が選んでいるモノは、”さらに多くの人から選ばれる”」ということだ。行列の出来る店に更なる行列ができるようなものである。これを株取引に当てはめると「”上がっている株”や”話題の株”は自分も買いたくなる(欲しくなる)」という状況だ。

バンドワゴンの寓話

 本書よりバンドワゴンの寓話をまとめると次のようになる。バンドワゴンとは、地上を走るゴンドラのようなものをイメージしてもらえればよい。

【バンドワゴンの寓話】
①どこからともなく心地よい音楽と共に、楽しそうなバンドワゴンが現れる。乗っているのは、ごく少数の人たちである。
②周囲の人々はその陽気な音楽に興味を惹かれて集まって来る。その陰で「最初に乗っていた人々」はどこかに消えていく。
③バンドワゴンの周りに人が集まることで、バンドワゴンのスピードは徐々に遅くなる。その結果、さらに多くの人が容易に楽しいパーティーに参加できる。
④しかし、バンドワゴンの使命は前に進むことである。その使命を果たすため、バンドワゴンは荒々しく周囲の人々をなぎ倒し進もうとする。
⑤その結果、多くの人がバンドワゴンに轢かれたり、振り落とされたりして重傷を負う。
⑥多くの人が犠牲となり振り落とされた結果、バンドワゴンは元の様に軽快に進み始める。
⑦どこからともなく「最初に乗っていた人々」が戻ってきて言う「よし、もう一回やってやろう」

【①段階のイメージ】「楽しいよ~、みんな寄っておいで~♪」

【②~④段階のイメージ】

 どうして自分が買うと急落するのか?、どうしていつも高値掴みをするのか。それは、あなたが「バンドワゴン効果の罠」に陥っている可能性が高い。この真理を知っておくだけでも多くの損失を回避することができる。

まとめ

 以上で説明は終わりである。たった1項目だけである。しかし、これを学べば高値掴みをすることなく、塩漬け株を作ることもなくなるだろう。多くの人はいまだに高値掴みを繰り返す。しかし、それは本能に従ったある意味「正しい行動」なのである。正しい行動なのだが、投資ではそれをやってしまうと勝てない。

 多くの人が投資で損失を抱えるのは、この本能を克服できていないからだと思う。また、それにすら気づいていない人も多いだろう。