お金の話

【本から学ぶ】デイトレード 高値掴み→暴落塩漬けを回避 バンドワゴン効果 投資の精神面について学ぶ

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こんにちは、井上向介です。アラフィフ、サラリーマン。子供2人は社会人となり独立。現在、妻と二人で生活しています。

この記事は、株式投資について「デイトレード」という本から学ぶことをまとめた記事です。

【こんな悩みありませんか?】

  • 資産運用の時代、投資を始めてみたが上手く行かない
  • 損失ばかりが続いて毎日がつらい、なにがいけないのか

株式投資には、①儲ける技術と②損失をコントロールする技術の両方が必要です。そして、それらを実行する③強靭なメンタル(心理面)が必要となります。この本は、③投資のメンタル(心理面)の教訓について書かれた本です。

【株式投資に必要な3つのモノ】

  1. 儲ける技術(銘柄選定など)
  2. 損失をコントロールする技術(損切り)
  3. ①、②を実行するメンタル
この本で分かること
  • 投資におけるメンタルの重要性
  • 初心者にオススメの4つの項目紹介

書評(株取引の精神論を学ぶための本)

今年から久しぶりに株取引を再開したので、株式取引の関連本を紹介します。この本を最初に買ったのはいつだったか。。。忘れましたが遠い昔で、私はもう何回も読み返している本です。今回、久しぶりに読み返しましたが、やはり参考になります。

具体的な手法には一切触れていない

まず、結論として本書は「株取引のメンタル(心理面)」について書かれた本です。そのため「具体的な売買テクニック(手法)」については、一切触れられていません。具体的なテクニックとは「チャートで〇〇のサインが出たら買い」、「買値から□%上がればいったん利食い」といった”取引手法”に関する内容です。

それに加えて「デイトレード」というタイトルから、いかにも超短期の取引向けについて書かれた本というイメージを与えてしまいます。

誤解を生むタイトル

Amazonでの本書に対する低評価は、主にこの誤解から生まれていると考えられます。この本の内容とまとめると、次のとおりです。

【デイトレードという書籍の内容】

  • 株取引における精神的心構えについての教訓を教えてくれる本
  • 具体的な取引手法については、1ページも記載されていない
  • 株取引を行ったことのない初心者には、あまり理解できない
  • デイトレード以外でも十分役に立つ

「メンタル本」だから、いつまでも役に立つ

この本が株取引(FXにも共通する)のメンタル面(精神面・心構え)について書かれた本なので、逆に末永く役に立ちます。株の取引手法には「流行り廃り」があります。最近だと米国株、インデックス投資、高配当銘柄と話題の主流は移り変わります。

こういった手法は5年後、10年後には通用しなくなっている可能性が高いです。しかし、取引する人間の精神的な弱点はいつの時代も不変です。そのため、この本を常に手元に置き、時々読み返すことで弱点を再確認することができます。

デイトレードという本の5つの内容解説

この本の内容について5つのポイントを解説していきます。この本は2002年に発行されました。今から20年以上も前です。しかし、この本が今でも通用するといえるのは、精神面に触れているからです。

本書の構成

この本は、取引における心理面での教訓が2~3ページにコンパクトにまとめられ「100項目以上」書かれています。そのため、1項目が読みやすくまた、後で自分の弱い部分のみを選んで読み返すことができます。

①取引における精神的心構えについて学ぶ本

株取引で勝つためには、①売買技術に関する知識と②それを実行するメンタル(精神面)の両方が必要です。本書はそのうち②のメンタル(精神面)について、延々と書かれた本です。

本書のP99がすべてを語っている

知っていることと出来ることは違う

人はなぜ「知っていても」できないのか?我々は安値で買って高値で売ることが最良の策と知っている。しかし、本当はその真逆をやっている。

  • 暴落時は安値で買うチャンスと知っているのに恐怖で動けない
  • 欲に負けて危険と知っているのに高値掴みをしてしまう
  • あらかじめ定めた損切りラインに達していることを知っているのに、損切りできない

すべて精神面が原因

これらはすべて人間であるがゆえの精神面の脆さが原因です。お金の絡まないデモトレードやゲームであれば、暴落時にいくらでも買えるでしょう。でも、お金がかかったとたん恐怖で動けない。

トレーディング手法を学ぶこと(知ること)はそれほど難しいことではない、実践するのがとても難しいのです。この精神的な脆さを克服するために、本書のような本が必要となります。

②具体的な取引手法については、1ページも記載されていない

何度も書きますが、具体的な手法(テクニック)については一切書かれていません。具体的な売買手法や企業業績を分析するための知識を学ぶには別途、それらに関連した本で学ぶ必要があります。そういった本は数多く出版されているので探すことは容易です。

③初心者には、あまり理解できない

まだ取引で失敗したことのない人には、本書の内容はイマイチピンと来ないかもしれません。未経験者に「あるあるネタ」が通じないのと同じです。そういう初心者の人は、まずは実際に取引を行ってみるのがイイでしょう。

恐らく思った通りに上手く行かなかったり、手痛い損失を負うことになるので、それから本書を読めば理解度も上がります。

何度か痛い経験をしてから読むべき本

この本が本当に必要となるのは、株式取引を始めてしばらくしてからです。米国株、ほったらかしインデックス投資、高配当株投資などの魅力的な投資話を聞いて、自分も株式投資を始めてみたが、思ったように上手く行かない、損失ばかり。何が悪いのか?

そして「やっぱ俺って株取引に向いてないかも、、、」とあきらめかけの時に、本書を読めば「あぁ、こういったところがダメだったのか」と気づかされます。そして本書を読み終えた後は、再び「もう一度やってみるか」という気になっていることでしょう。

④タイトルで損をしている(デイトレ以外にも役立つ)

この本はタイトルが間違っています。「デイトレード」というタイトルから、デイトレ向けの手法本だと思われていることでしょう。しかし実際には、デイトレに関連して書かれていることは少なく、スイングトレードや中・長の投資家にも役立つ内容が盛りだくさんです。

初心者向け、本書のオススメ4項目

100項目以上のメンタルについて書かれた本書ですが、その中でも私がとくに教訓としている4つの項目についてご紹介します。毎回高値掴みをする、損切りが出来ないといった初心者に向けた内容を選びました。

【本書でのオススメ4項目】

  1. バンドワゴン効果
  2. 第3の大罪「時間軸を変更すること」
  3. 第6の大罪「誤った勝ち方をすること」
  4. 変えられないものを受け入れることを学ぶ

①バンドワゴン効果

私が本書の中でもっとも教訓としている部分です。ここを学んだからこそ、下記の具体例のような事例に対しても、冷静に対処できています。実際に著者自身も述べていますが、この寓話について学ぶだけでも本書の価値はあります。(本書の価格2,200円どころではない損失を防いでくれる)

バンドワゴン効果とは

バンドワゴン効果とは、多数がある選択肢を選択している現象が、その選択肢を選択する者を更に増大させる効果(Wikipediaより)

わかりやすく言うと「多くの人が選んでいるモノは、”さらに多くの人から選ばれる”」ということです。行列の出来る店に更なる行列ができるようなものです。これを株取引に当てはめると「上がっている株”や”話題の株”は自分も買いたくなる(欲しくなる)」ということです。

バンドワゴンの寓話

本書よりバンドワゴンの寓話をまとめると次のようになります。

【バンドワゴンの寓話】

  1. どこからともなく心地よい音楽と共に、楽しそうなバンドワゴンが現れる。乗っているのは、ごく少数の人たちである。
  2. 周囲の人々はその陽気な音楽に惹かれて集まって来る。その陰で「最初に乗っていた人々」はどこかに消えていく。
  3. バンドワゴンの周りに人が集まることで、バンドワゴンのスピードは徐々に遅くなる。その結果、さらに多くの人が容易に楽しいパーティーに参加できる。
  4. しかし、バンドワゴンの使命は前に進むことである。その使命を果たすため、バンドワゴンは荒々しく周囲の人々をなぎ倒し進もうとする。
  5. その結果、多くの人がバンドワゴンに轢かれたり、振り落とされたりして重傷を負う。
  6. 多くの人が犠牲となり振り落とされた結果、バンドワゴンは元の様に軽快に進み始める。
  7. どこからともなく「最初に乗っていた人々」が戻ってきて言う「よし、もう一回やってやろう

【①段階のイメージ】「楽しいよ~、みんな寄っておいで~♪」

【②~④段階のイメージ】

どうして自分が買うと急落するのか?、どうしていつも高値掴みをするのか。それはこの「バンドワゴン効果の罠」に陥っている可能性が高いです。この真理を知っておくだけでも多くの損失を回避できます。

自分の持ち株を誰かに「買ってもらう」必要がある

どうしてこういう現象が発生するのでしょうか?(正確には、発生させる必要があるのか?)それは仕掛け人が保有する大量の株式を「誰かに」に買ってもらう必要があるからです。そのためには、注目され人を集めなければなりません。

例えばあなたが、10万枚もの大量のチラシを3配らなければならないとして、

  1. 渋谷のスクランブル交差点
  2. 地方のローカル路線の駅前

どちらで配りますか?

バンドワゴンの具体例

2023年4月現在、まさにバンドワゴンの心地よい音楽が流れ、多くの人が集まっているお祭り銘柄があります。(7692)アースインフィニティです。(下は日足チャート)株価は2月の500円台から、わずか2か月で4倍の2000円です。

Twitterなどでは連日、この銘柄に関するツイートを見ない日はありません。多くの人に注目されています。

寓話から学ぶべきこと

私が考える”人気株”への対応は次の2つです。

【バンドワゴン寓話の活かし方】

  1. バンドワゴン効果とその先行きについて知っておく。その上で
  2. 取引手腕に自信があれば自分も参戦し、大きく儲けるチャンスである
  3. 上手くやる自信がないのなら、傍観者となり参加の誘惑から身を守る

アースインフィニティに関しては、私は③の立場です。ですが、こういったお祭り騒ぎは今後も繰り返されるので、将来は「②儲ける側」にまわれるようになりたいとも考えています。

すべては自己責任

株式投資は何事も自己責任です。お祭りに参加するのも傍観するのも各自の自由です。当然、その結果(利益or損失、何も得られない)についても受け入れる必要があります。

株式投資では「自己責任」の名のもと、どのような手法であれ自分の好きなように選択する自由があります。

②第3の大罪「時間軸を変更すること」

「時間軸の変更」これはまさに損切りを行うべきか悩んでいるトレーダーに囁きかける「悪魔の誘惑」です。本書ではこう書かれています。

  • 時間軸の変更は損切りを無視することを正当化することにほかならない
  • 時間軸の変更は自らが間違ったことを認めずに済む

時間軸変更の具体例

時間軸の変更の具体的な例として、

  1. 短期の指標(日足チャート)を判断材料にして買った株が下がり始めた
  2. 頭では損切りと分かっていながら中期の指標(週足チャート)を見て「まだ大丈夫」と考え方を変える
  3. 当初の損切りが出来ない

こうして時間軸を変更し、損切りを先延ばしにするといずれ塩漬け株を多数抱えることになり「退場の日」を迎えることになります。

③第6の大罪「間違った勝ち方をすること」

「間違った勝ち方」とは、あらかじめ定められたルール(とくに損切りルール)に従わずに利益を得ることです。例えば、株価が950円の時に損切りすべきところをルールを無視して900円まで放置した。幸いにも株価は戻して1000円で利確できた、というような場合です。

これの何がいけないのか?

この人は「次も」損切りルールを破ることでしょう。そして、いずれ大敗し「退場の日」を迎えることになります。ルールを守った結果の「損失」は、ルールを破った結果の「利益」よりも価値があります。

誤った勝ち方を癖付けてはいけないという「教訓」です。

④変えられないものを受け入れることを学ぶ

変えられないものとは「損失を被ること」です。多くの人が“決して変えることの出来ない”この事実を何とか回避しようと、無駄な時間を費やしています。我々が本当にやるべきことは「損失をなくすこと」ではなく、「損失を小さくコントロール」することなのです。

  • 多くの人がやること ⇒「損失をゼロにしようとする
  • 目指すべきゴール ⇒「損失を小さくコントロールする

人間は基本的に痛みを避けるもの

私もいまだに損失を避けようと(ゼロにしようと)、買うことを躊躇し様子見してしまうことがあります。その結果、絶好の買い場を逃し大きな利益を取り損ねることがあります。こういったこともすべて、メンタル(心理面)の弱さに起因します。

なので、本書で人間のメンタルの弱さについて知り学ぶ必要があるのです。こういった人間の本質に根差す弱点は、自分では気づけません。客観的に誰かに教えてもらう必要があります。

⇒株で勝ちたい初心者が最初に知っておくべき「ゲームのルール」