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「死なないノウハウ」親の介護についてのノウハウを知る

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この本を読もうと思った理由

 この手の、あまり知られていない行政サービス紹介本というのは、正直ちょっと抵抗があるというのが本音である。なぜなら、この手の手法が世に広まると多くの人がサービスを利用しようと殺到しサービス過多となり、結局は税金の負担増やサービス縮小や打ち切りという形で我々に跳ね返ってくるからである。

 本当にサービスを必要としている人と、ズルして楽したい人達との線引きが難しい。そのような理由でこの手の本は避けていたのだが、目次の中に「親の介護」に関する項目があったので、そこは知っておこうと思ったのが本書を読もうと思った理由である。

死なないノウハウ(雨宮 処凛、2024年2月、光文社新書)

親の介護部分に注目

 本書には、生活保護を含めたお金の補助から仕事(不当解雇など)や病気、トラブル(造族など)や死についてまで色々な補助制度について書かれているが、その内50代に関連しそうな分野を中心に紹介する。主に「親の介護」の部分である。

遺族年金について

 よく聞く言葉である。イメージするのは、父親が早くに病気などで亡くなり、残された妻と子供に年金が支給されるというものである。遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があるが、後者は自営業には適用されない。

 遺族年金の需給には条件がある。最大の条件は「亡くなった人が、保険料を払う2/3以上の期間を納めていること」日本年金機構のHPを見てみると、具体的には25年のようだ。国民年金の支払い義務は、20歳から発生するので「最低でも45歳以上」ということになる。

 若くして亡くなった場合は、遺族年金は貰えないということになる。(制度を完全に理解している訳では無いので、誤りがあるかもしれない)この辺りのフォローは、やはり各自の生命保険で補うしかないのか。

遺族基礎年金

 遺族基礎年金を貰えるのは、子のある配偶者と18歳までの子となる。2025年現在、妻と子供1人の場合、年間約103万支給される。注意しなければならないのは、子供のいない配偶者は対象外ということだ。一見、なかなか厳しいような気がするが、まぁ、独身で子無しなら働けと言うことか。

遺族厚生年金

 会社員の場合、「別途」遺族厚生年金が支給される。こちらも25年以上という縛りはあるようだ。こちらは子供のいない妻でも支給されるのは朗報。また妻の年齢が40歳以上であれば「中高齢寡婦加算」があり、65歳になるまで年間61万円上乗せでもらえる。

 サラリーマン優遇だと言われそうだが、それだけサラリーマンは年金を払っている(搾取されている)ということなので、これぐらいの見返りがあってもイイだろう。

親の介護関係

 我々、50代以上に重くのしかかってくるのが、親の介護である。私自身、親はまだ自活して生活できているが、いつ要介護や認知症になるか分からな状況である。そこで、そのような状況になった時に焦らないためにも、ここに制度の仕組みや利用方法について書き留めておく。

まず最初に行く場所は?

 本書には親の介護を考えるようになった時、まず最初に接触するのは「地域包括支援センター」とある。市役所や役場の窓口ではないのが意外である。実際に自分の住む場所で、地域包括支援センターを調べてみたが、役所とは別の場所にあった。

 おそらく役所に相談にいっても、縦割りでこちらに回されるのだろう。正直、地域包括支援センターなど今まで聞いたこともない施設名称だ。

絶対に仕事は辞めるな!

 本書では、親の介護のために子供が仕事を辞めることは、絶対にするな!と書かれている。子供は自分で親の介護をするのではなく、介護保険制度を利用して外部にサービスを”指示する”のが役割とある。子供が仕事を辞めると、収入が断たれ最悪親子共々、「共倒れ」の危険がある。

要介護認定 話はそれからだ

 地域包括支援センターに行き最初にすることは、「要介護認定」である。これも名前だけはよく聞くが、実際その中身はよく知らない。認定の分類には、要支援1~2と、要介護1~5の計7段階あるようだ。当然、要介護5が一番重い。

 介護支援は、この介護認定のランクによって内容が決められているので、そもそも認定してもらわなければ、介護サービス自体を受けられないことになる。

次のステップは?

 介護認定されれば、次はその認定の度合いによって、どのようなサービスを行っていくか決めていく。軽度なモノであれば、デイケア、訪問看護、ショートステイが選択肢となる。施設に入るとなれば、介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホーム(いわゆる特養)など、8種類(民間運営4種類、行政運営4種類)から選ぶことになる。

 この辺りは、各自の予算との折り合いも関係して来る。最も選択肢としてなり得る、有料老人ホームと特別養護老人ホーム(特養)について紹介する。

老人ホームあれこれ

介護付き有料老人ホーム

 我々がもっともイメージしやすいのが、いわゆる老人ホームだろう。親が認知になったらここに入居させるつもり、と考えている人も多いだろう。値段の安い特養は「何百人待ち」ということもよく聞く。

 本書では、特養入居までのつなぎに有料老人ホームというのが、子供に負担のない選択肢とも書かれている。有料老人ホームの入居一時金は、0円~1000万超え、月額相場は、15万~30万。原則65歳以上で入居可となる。

金額と介護内容は比例しない

 本書では、入居金1億の施設と月額20万の施設の介護内容に「差はない」、と書かれている。では金額の差は何かというと、立地や設備の豪華さの差である。海の見える眺望であったり、鉄板焼きが食べられたりと、そういった部分の差となる。肝心の介護内容に差がないのであれば、無理して高額施設に入る必要もないだろう。

有料老人ホームの平均相場月25万

 首都圏での有料老人ホームの月額相場は25万円と書かれている。これは入居費用以外におむつ代や基本サービスに含まれていない食事介護等を加えると、どうしても追加費用が発生するからとのこと。

 月額25万となれば、親の厚生年金でも不足が出るだろう。まして国民年金であれば、2025年現在の支給額は6.8万なので、まったく足りていない。ただし、地方では12万~14万で入れるところもあるというのは救い。

この場合の対応策としては、①子供が差額を負担する、②特養などの費用が安い施設に行く、③生活保護が考えられる。

特別養護老人ホーム(特養)

 行政が運営する公的サービス。そのため値段が安い。当然人が殺到するので保育園よろしく、入居には長蛇の列が出来ている。入居一時金は0円、月額相場は10万~15万とやはり料金の安さが魅力である。しかし、そんな特養は「要介護3以上」でしか入居できない。大きなハードルである。

地獄の沙汰も金次第「年100万で丸投げ」

 本書では、毒親や遠方などで親の介護から葬儀まで一切関わりたくない(関われない)という人のために、そういった業務を代行してくれる業者として「一般社団法人LMN」という所が紹介されている。入会金44万円とは別途費用で、入居する施設選びから、亡くなった後の納骨まですべてを丸投げした場合の金額として、年間100万円と書かれている。

 当然、施設費用などの実費は別途必要なのだろうが、これで完全に丸投げできるとしたら・・・地獄の沙汰も金次第である。逆に自分の不慮の入院や介護について親に知られたくないという人も、この団体を活用することが出来る。

まとめ

 親の介護を中心に紹介したが、避けては通れない道なのでこういったノウハウを知っておくことは重要だと思う。近年では、毒親との確執や独身世帯や子供がいない夫婦も増えているので子供に期待できない人も、自分の最後について本書で紹介されている「一般社団法人LMN」は役に立つのではないかと思った。